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空いてるから外部に貸す?ちょっと待って!機械式駐車場と税金の落とし穴

マンションの機械式駐車場に空きが出ると、「どうせ使っていないのなら外部に貸して収入にできないか」と考える方もいるかもしれません。一見、合理的なアイデアに見えますが、実は“税金”という大きな落とし穴が潜んでいます
この記事では、機械式駐車場の外部貸し出しに潜むリスクと、実際に検討すべきポイントについて学んでいきます。

外部貸し出しが“収益事業”になる可能性

マンションの管理組合は、法律上「人格のない社団等」として位置づけられ、多くの場合、法人税は免除されています。しかし、収益を目的とする事業を行うと課税対象となるため、注意が必要です。
とくに「駐車場業」に該当する行為は、国税庁が定める34種類の収益事業の1つとされており、外部貸し出しによって課税対象になる可能性があります。

項目内容
管理組合の分類人格のない社団等(非営利が前提)
課税の条件収益事業を行った場合
外部貸しのリスク国税庁が定める34の収益事業に「駐車場業」が含まれ、法人税課税の可能性あり

税務対応で想像以上のコストが発生

仮に駐車場の外部貸しが「収益事業」とみなされた場合、法人税の申告・納税が必要になるだけでなく、さまざまな対応が必要となります。
それによって得られる収入よりも、むしろ負担の方が大きくなるケースも珍しくありません。

必要になる対応内容
確定申告所得の申告書作成と提出が必要
税理士の依頼税務処理を外部に委託する場合が多く、費用が発生
事務負担会計処理、理事会報告など、管理業務が煩雑になる

実際には見送られるケースがほとんど

筆者がこれまで関わった管理組合でも、「空いているから貸したい」という声は少なくありませんでした。
しかし実際には、ほとんどのケースで外部貸しは見送られています。

その理由は以下のとおりです。

  • 数台分では収入が限られる
  • 税務対応や税理士費用の方が高くつく
  • 利用者トラブルや鍵の管理などの手間が増える

結果として、管理組合の負担が増すばかりで、大きなメリットが見込めないという判断になります。
それよりも、まずは居住者向けの内部利用を見直すことや、なぜ空きが発生しているのかの分析に注力することが、将来的に有益です。

まとめ

機械式駐車場の外部貸し出しは、一見収益化のチャンスに見えますが、法人税課税や会計対応の煩雑さといったリスクが非常に高いのが実情です。国税庁の定める「収益事業」に該当することで、課税対象となるだけでなく、確定申告や会計処理の負担が発生します。特に、数台程度の空き区画では収入以上の負担になる可能性が高く、現実的ではありません。安易に外部貸しを進めるのではなく、まずは理事会内で情報を共有し、税理士などの専門家と相談したうえで慎重に判断することが、安定した管理につながります。

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