
「うちは機械式駐車場を使っていないのに、なぜ修理費用を払わないといけないの?」
そんな疑問の声が、理事会や管理組合の場で聞かれることがあります。実はこの問題、マンション特有の「共用部分」の考え方が大きく関係しています。
この記事では、機械式駐車場の修理費用が誰に、なぜ発生するのか、その仕組みをわかりやすく解説します。
共用部分に含まれるから全員が負担
多くのマンションに設置されている機械式駐車場は、廊下やエレベーターなどと同じく、共用部分と見なされます。
共用部分とは、区分所有者全員で共有・維持することが前提とされているスペースのことです。したがって、たとえ使っていないとしても、所有者である限り修理費用の一部を負担する仕組みになっています。
項目 | 概要 |
---|---|
共用部分の例 | 廊下、エレベーター、屋上、機械式駐車場 |
管理費の使途 | 日常的な点検・管理・軽微な修繕等 |
修繕積立金の使途 | 大規模修繕・設備更新(駐車場の更新も含む) |
賃貸入居者は対象外
マンションには、区分所有者だけでなく、賃貸で暮らしている方もいます。しかし、賃貸入居者は管理組合の構成員ではないため、原則として修理費用を直接負担する立場にはありません。管理費や修繕積立金といった費用は、あくまで区分所有者=オーナーが支払うものであり、賃貸で暮らす方には直接関係しないのが一般的です。
利用していなくても負担する理由
「エレベーターを使わない1階の住民も、その維持費を負担している」
このような例と同様に、駐車場の使用有無に関わらず、共用部分の一部として機械式駐車場の修繕費を負担することはマンション運営の基本原則となっています。
多くのマンションでは、修繕積立金の金額は住戸の専有面積などを基準に一律に設定されており、駐車場の利用状況は考慮されません。
利用者のみが費用を負担するケースも
ただし、ごく稀に、駐車場利用者だけが修理費を負担するルールを導入しているマンションも存在します。たとえば、駐車場使用料とは別に「駐車場専用の修繕積立金」を設けるなどの方法です。
この方式では、以下のような運用がなされます:
項目 | 内容 |
---|---|
通常の修繕積立金 | 機械式駐車場の修理には使用しない |
駐車場修繕積立金 | 利用者から徴収し、将来の修理費に充当 |
このような制度を導入するには、管理規約の改正や総会の特別決議が必要となる場合もあり、実現には一定のハードルがあります。
まとめ
機械式駐車場の修理費用は、たとえ使っていない場合でも区分所有者であれば原則として負担する仕組みになっています。これは、機械式駐車場がマンションの共用部分とされており、管理組合が維持管理を行っているためです。費用は管理費や修繕積立金から賄われ、その金額は住戸の専有面積などをもとに定められており、駐車場の利用状況は影響しません。ただし、例外的に利用者のみが修理費用を負担する制度を採用しているマンションもあります。自分のマンションでどのような取り扱いがされているのかを知ることが、適切な理解につながります。