
機械式駐車場の更新工事では、古い設備を撤去して新しい機器に入れ替える必要がありますが、その費用は想像以上に高額になることがあります。特に、構造が複雑な場合や段数が多い装置では、解体・撤去にかかる費用が総額の大きな割合を占めることもあります。こうした中、費用を抑える手段として注目されているのが「分離発注」という方法です。この記事では、更新・リニューアル費用の内訳と、コストを抑えるための分離発注について学んでいきます。
機械式駐車場の更新・リニューアルとは?
機械式駐車場のリニューアルとは、老朽化した設備を撤去し、新しい装置へと入れ替える工事を指します。一般的には以下の2つの工程に分かれています。
- 既存設備の解体・撤去:現在使われている機械装置を取り外し、解体・処分する工程
- 新しい装置の設置:新たな駐車装置を搬入・据え付ける工程
この2工程を合わせた総費用は、1パレットあたり150万〜200万円が一つの目安とされています。特に台数が多い場合や、大型装置を採用する場合は、総額が数千万円規模にのぼることもあります。
解体撤去費用が総費用の3割以上を占めることも
更新・リニューアル費用の中でも、見落とされがちなのが既存設備の解体・撤去費用です。この費用だけで、全体の30%以上を占めるケースも少なくありません。
さらに、駐車装置の構造が複雑で段数が多い場合、撤去作業に必要な重機や人員が増えることでコストがさらに上昇します。たとえば、2段式よりも3段式、エレベーター方式、多段方式といった機種では、解体作業の負担が大きく、費用にも大きな差が出てきます。
「分離発注」で中間コストを削減
こうした費用を少しでも抑える方法として注目されているのが、「分離発注」という発注方式です。これは、リニューアル工事全体をメーカーに一括で依頼するのではなく、既存設備の解体・撤去だけを専門の解体業者に直接発注するという方法です。
通常、一括発注ではメーカーが解体業務を外部業者に再委託しているため、その分中間マージンが発生します。分離発注であれば、中間マージンを省くことができ、結果として工事全体の費用を抑えることができるため、コスト面でメリットがあります。
分離発注は問題にならないの?
分離発注に対して「メーカーにすべて任せた方が安心なのでは?」と不安を感じる方もいるかもしれませんが、実際にはメーカー自身も解体作業は外部業者に発注しているのが一般的です。そのため、管理組合が同様に解体業者へ直接発注しても、基本的に問題はありません。
さらに、機械式駐車場のメーカーと撤去解体業者と直接やりとりしてもらえば、管理組合の負担増もほとんどないでしょう。
まとめ
機械式駐車場の更新・リニューアル工事には、老朽化した設備の解体・撤去と新しい装置の設置という2つの大きな工程が含まれます。その中でも、特に見落とされがちなのが解体・撤去にかかる費用であり、総費用の3割以上を占めることもあります。段数が多く構造が複雑な駐車場ほどその割合は高くなる傾向があり、工事全体の費用に大きく影響を及ぼします。
こうした中で注目されているのが「分離発注」という発注方法です。メーカーに一括で工事を依頼するのではなく、解体工事のみを専門の解体業者に直接発注することで、中間マージンを省き、費用を抑えることができます。メーカー自身も解体は外部業者に委託しているのが一般的なため、管理組合が同様に直接発注を行っても問題はありません。さらに、解体業者とメーカーの連携を事前に整えておけば、管理組合の負担が大きくなることもほとんどありません。
更新・リニューアル工事は高額になりやすいからこそ、分離発注を上手に活用することで、コスト削減が可能です。機械式駐車場のリニューアル工事を検討する際には、分離発注という選択肢をぜひ視野に入れてみてはいかがでしょうか。