機械式駐車場の埋め戻し工法とは|仕組み・メリット・注意点と他工法との違い

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機械式駐車場の埋め戻し工法を示すイメージ画像

機械式駐車場の平面化工法のひとつである「埋め戻し工法」は、地下ピットに砕石を投入して埋め戻し、その上にアスファルトやコンクリートで舗装する工法です。

構造がシンプルで費用を抑えやすく、完成後の維持管理もほぼ不要になるため、恒久的な平面化を目指す場合に適しています。ただし、適用できるのは屋外ピットに限られるほか、排水対策や廃棄物処理法上のリスクなど、事前に確認すべき点もあります。

この記事では、埋め戻し工法の仕組み、メリット、注意点、施工手順、舗装の選び方、他工法との違いを解説します。

埋め戻し工法の仕組み

埋め戻し工法の仕組み

埋め戻し工法は、機械式駐車場の装置を解体・撤去した後、残った地下ピット(コンクリート製の構造体)の中に砕石を投入して空間を埋め、その上にアスファルトやコンクリートで舗装して平面駐車場にする工法です。

ピットのコンクリート構造体は解体せずそのまま残すのが一般的です。ピットを解体・撤去してから埋め戻す方法もありますが、費用が大幅に増加するため、現実的にはほとんど採用されません。

埋め戻し工法のメリット

費用を抑えやすい

埋め戻し工法は、4つの平面化工法の中で費用が最も安価になりやすい工法です。砕石の材料費が比較的低く、施工もシンプルなため、鋼製平面化工法と比較して初期費用を抑えることができます。

埋め戻し工法を含む各工法の概算費用は、解体・平面化シミュレーターで比較できます。

完成後の維持管理がほぼ不要

機械式駐車場で必要だった保守点検費や部品交換費が不要になります。また、鋼製平面化工法で必要となる鉄部の再塗装や防錆処理も不要です。地下ピット内の排水ポンプも撤去されるため、排水ポンプのメンテナンス費用もかかりません。

ただし、アスファルト舗装は約10年程度で劣化するため、将来の再舗装費用は見込んでおく必要があります。

荷重制限がない

鋼製平面化工法では床板の設計上、耐荷重制限(標準2.5t、オプション3t)がありますが、埋め戻し工法では地盤そのものが荷重を支えるため、特に制限はありません。

恒久的な整備ができる

いったん埋め戻して舗装すれば、平面駐車場として長期間使用できます。ただし、元の状態に戻すのは困難であるため、将来的に機械式駐車場を再設置する可能性がある場合は、鋼製平面化工法のほうが適しています。

埋め戻し工法の注意点

適用できるのは屋外ピットのみ

埋め戻し工法は屋外ピットにのみ適用できます。屋内のピットに大量の砕石を投入すると、土圧や荷重が建物の構造体に影響を及ぼすリスクがあるため、屋内ピットへの埋め戻しは推奨されません。屋内ピットの場合は、軽量なEPS工法や鋼製平面化工法が適しています。

排水対策が必要

地下ピットはコンクリート製の箱状の構造体であるため、埋め戻し後に雨水や地下水が溜まると問題が生じます。水が溜まったまま放置されると、砕石が流出したり、地下水の浮力でピット構造体が浮き上がって路面が隆起したりするリスクがあります。

施工前に、ピットの底板や側壁に水抜き穴(コア抜き)を開けて排水経路を確保する処理が必要です。また、埋め戻し後の路面には適切な勾配を付け、側溝や排水桝へ雨水が流れるよう仕上げます。

転圧不足による沈下のリスク

砕石を層状に投入しながら十分に転圧(締固め)を行わないと、年月の経過とともに砕石の内部に隙間が生まれ、路面が部分的に沈下することがあります。転圧作業の丁寧さが施工品質を左右する重要なポイントです

排水・貯水機能の喪失

地下ピットがゲリラ豪雨時に雨水を一時的に貯める「調整池」の役割を果たしている場合があります。埋め戻しによりその機能が失われるため、浸透マスの設置など別途排水設備の構築が必要になることがあります。

廃棄物処理法上のリスク

ピットに投入する砕石の種類や調達方法によっては、廃棄物処理法上の問題が生じる可能性が指摘されています。現時点では罰則を受けた公表事例は確認されていませんが、法的な解釈が定まっていない部分もあるため、管理組合として認識しておくべきリスクです。

鋼製平面化より工期が長い

砕石の搬入と転圧に時間がかかるため、鋼製平面化工法と比較して工期はやや長くなります。コンクリート舗装を選ぶ場合は、養生期間(コンクリートが十分な強度に達するまでの期間)も必要です。工期は、ピットの深さや砕石の搬入経路によって大きく変わります。

工事期間中の騒音・振動

大量の砕石を投入し重機で締め固める作業が発生するため、鋼製平面化工法と比較して騒音や振動が大きくなります。居住者や近隣への事前説明と、工事時間帯の配慮が欠かせません。

砕石運搬車両(ダンプ)の通行リスク

大量の砕石を運搬するダンプカーが敷地内を何往復も行き来します。居住者の歩行ルートと重なる場合は誘導員の配置が不可欠です。搬入経路が狭い場合は小型車でのピストン輸送となり、工期と費用が大幅に増えることがあります。

ピットが深い場合のコスト増

埋める体積が大きい(ピットが深い、台数が多い)場合、大量の埋め戻し材が必要になり運搬費や材料費がかさみます。条件次第では鋼製平面化工法より高くなるケースもあるため、複数工法での比較見積もりが重要です。

建物構造への影響

マンションの地下躯体と一体化しているような構造の場合、大量の砕石による壁面への土圧が建物に悪影響を及ぼす可能性があります。事前に図面での構造確認が必要です。

廃棄物処理法への注意

地下ピットのコンクリート壁や基礎は残したまま埋め戻すのが一般的ですが、自治体の判断によっては「廃棄物の不法投棄」に該当するリスクがあります。工事着手前に自治体との事前協議を行うことが重要です。

施工手順

以下は一般的な施工手順です。現場の状況に応じて調整されます。

1. 機械式駐車場の解体撤去

機械式駐車場の装置(パレット、鉄骨、モーター、制御盤など)を上部から順に解体し、搬出・処分します。解体後、地下ピット内を清掃します。

2. 排水対策

ピットの底板や側壁に水抜き穴(コア抜き)を開け、ピット内に水が溜まらないよう排水経路を確保します。既設の排水ポンプは撤去します。

3. 砕石の投入と転圧

砕石を層状に投入しながら、1層ごとに十分な転圧(締固め)を行います。転圧が不十分だと、将来的に路面の沈下につながるため、この工程が品質を左右する最も重要な作業です。

4. 仕上げ舗装

砕石の上にアスファルトまたはコンクリートで舗装し、周辺地盤と同じ高さに仕上げます。駐車区画のライン引きや車止めの設置もこの段階で行います。

撤去前の機械式駐車場
撤去前の機械式駐車場
機械式駐車場の解体
機械式駐車場の解体
機械式駐車場の搬出
機械式駐車場の搬出
搬出トラック
搬出トラック
空になった地下ピット
空になった地下ピット
底面のコア抜き
底面のコア抜き
砕石の投入
砕石の投入
5層に分けて転圧
5層に分けて転圧
転圧作業
転圧作業
アスファルト舗装
アスファルト舗装
埋め戻しによる平面化完成
埋め戻しによる平面化完成

舗装の選び方

舗装方法特徴適しているケース
アスファルト舗装施工コストが安く、工期も短い。約10年前後で劣化するため定期的な補修が必要費用を抑えたい場合、短期間で仕上げたい場合
コンクリート舗装耐久性が高く、補修頻度が少ない。ただし養生期間が必要で、アスファルトより工期は長い長期的な使用を前提とする場合

ターンテーブルの埋め戻し

ターンテーブルの平面化も、基本的な手順は機械式駐車場の埋め戻しと同じです。モーターや回転テーブルを撤去し、空洞部分を砕石で埋め戻した後、アスファルトやコンクリートで舗装して周囲と段差のない状態に仕上げます。

他工法との比較

比較項目埋め戻し工法鋼製平面化工法
適用場所屋外のみ屋外・屋内
費用安価中(1列あたり130〜180万円程度)
工期やや長い(養生含む)短い
完成後の維持管理ほぼ不要鉄部の再塗装と排水ポンプの維持が必要
荷重制限なしあり(標準2.5t)
将来の用途変更元に戻すのは困難撤去して元に戻すことも可能
注意点転圧不足による沈下、排水対策、廃棄物処理法業者間の素材・品質差

埋め戻し工法は屋外ピットで、将来的に機械式駐車場を再設置する予定がなく、費用を抑えたい場合に有力な選択肢です。屋内ピットの場合や、将来の再設置を残したい場合は、鋼製平面化工法やEPS工法を検討してください。

4工法すべての比較については「機械式駐車場の解体と平面化の基本知識」で解説しています。

よくある質問

Q. 埋め戻し工法はどのような駐車場に適していますか?

屋外に設置された地下ピット式の機械式駐車場で、将来的に機械式駐車場を再設置する予定がなく、費用を抑えて恒久的な平面化を行いたい場合に適しています。屋内ピットには適用できません。

Q. 「埋め戻しは地盤沈下するから危険」と聞きましたが、本当ですか?

転圧(締固め)と排水対策が適切に行われていれば、大規模な沈下が発生する可能性は高くありません。上部のアスファルトが一部陥没する程度のことはありえますが、部分的な補修で対応可能なレベルです。「埋め戻しは危険」という説明は、鋼製平面化を推奨する業者の営業トークとして使われることがあるため、中立的な視点で判断してください。

Q. 埋め戻しに使う砕石はどのようなものですか?

一般的には再生砕石(解体コンクリートなどを再利用した砕石)が使用されます。再生砕石は新材と比べて安価に調達できますが、調達方法によっては廃棄物処理法上のリスクが指摘されているため、施工会社にどのような材料を使用するか確認しておくとよいでしょう。

Q. 附置義務の問題はありますか?

平面化によって駐車台数が減少する場合は、自治体の附置義務条例に抵触しないかを事前に確認してください。近年は附置義務を緩和する自治体が増えていますが、基準は地域によって異なるため、工事前に行政の担当窓口に確認してください。

埋め戻し工法が向くケース

屋外の地下ピット式で、将来的に機械式駐車場を再設置する予定がなく、費用を抑えて恒久的な平面化を行いたい場合に適しています。屋内ピットには適用できないため、その場合は鋼製平面化工法やEPS工法を検討してください。

まとめ

埋め戻し工法は、屋外の地下ピット式機械式駐車場を、低コストで恒久的に平面化できる工法です。完成後の維持管理がほぼ不要になる点も大きなメリットです

一方で、屋外ピットにしか適用できないこと、排水対策と転圧の品質が施工の成否を左右すること、廃棄物処理法上のリスクがあることは、事前に理解しておく必要があります。

埋め戻し工法が適しているかどうかは、駐車場の設置環境(屋外か屋内か)、将来の再設置の可能性、予算によって決まります。他の工法と比較した上で、自分の駐車場の条件に合った工法を選んでください。

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