マンションに設置されている機械式駐車場のパレット(車を載せる台)は、普段あまり注目されない部分ですが、安全性に直結する重要なパーツです。
見た目には問題がなくても、裏面やフレーム部分で腐食がじわじわと進行していることがあります。放置すれば、車の重さに耐えられず破損する危険性があり、最悪の場合は使用禁止に至ることもあります。
この記事では、パレットの腐食が進行しやすい箇所、劣化のサイン、そして塗装で延命するか解体・平面化に踏み切るかの判断基準を解説します。
パレット腐食の実態
パレットは日々車の重みを直接受け止めている部分であり、機械式駐車場の中でも劣化が進みやすい箇所です。
腐食が進行しやすい箇所
| 箇所 | 腐食が進む原因 |
|---|---|
| 地下ピットのパレット下端・フレーム | 湿気が溜まりやすく通風も不足するため、常に湿った状態にさらされる |
| 地上階のパレット表面 | 雨水や融雪剤の付着、経年による塗膜の劣化 |
| タイヤストッパー周辺 | タイヤとの接触による摩耗で塗膜が剥がれ、そこから錆が広がる |
特に東北地方など融雪剤を多く使う地域では、塩分の影響で腐食の進行が早まり、通常より短い周期での塗装が必要になるケースもあります。
塗装の周期と現実
パレットの多くは塗装仕上げが基本で、7〜8年ごとの再塗装が目安とされています。しかし、実際にはそのタイミングを逃したまま長年使用されているケースが少なくありません。
2回目の塗装時期(設置から15年前後)を過ぎると、塗膜がほぼ失われた状態で鋼材が直接環境にさらされるため、腐食の進行速度が一気に加速します。
腐食を放置するとどうなるか

安全性の低下
腐食が進行すると、パレット上部の縞鋼板(しまこうはん)が薄くなり、車の重さに耐えられず破損する危険性が出てきます。ストッパーの変形やパレットのたわみが確認された場合は、すでに安全性が大きく損なわれていると判断する必要があります。
見えない場所の腐食が最も危険
地下ピット内のように日常的に目視確認ができない場所では、パレットの下端やフレームの腐食が気づかれないまま進行します。これらの部位が脱落すると、重大な事故に発展するおそれがあります。
補修では対応しきれなくなる
腐食がある程度進行すると、塗装による延命では対応しきれず、パレット交換が必要になります。パレット交換費用は1枚あたり10〜15万円が目安で、全台数分を交換すると数百万円規模の支出になることもあります。
塗装で延命するか、平面化に踏み切るか
パレットの劣化が確認された場合、「塗装で延命する」か「解体・平面化に踏み切る」かの判断が求められます。
塗装で延命すべきケース
- 稼働率が高く、今後も長期間にわたって機械式駐車場を使い続ける見込みがある
- パレットの腐食が表面的で、鋼材の強度に問題がない
- 装置全体の老朽化がまだ進んでおらず、入替の時期が遠い
平面化を検討すべきケース
- 稼働率が低下しており、今後の需要回復が見込めない
- パレットだけでなく、モーターや制御盤など装置全体の老朽化が進んでいる
- 塗装やパレット交換を繰り返しても、数年後に装置の入替が必要になる見通し
- 保守点検費と修繕費の累計が、平面化工事の費用に近づいている
特に地下2段式の機械式駐車場では、構造上湿気や水分の影響を受けやすく、築15年程度で腐食が深刻化するケースが増えています。「塗装で延命しても、5年後に結局平面化する」という状況であれば、早めに平面化を決断するほうが合理的です。
よくある質問
Q. パレットの腐食は点検報告書で確認できますか?
はい、保守点検の報告書にパレットの状態が記載されていることが多いです。「要修繕」「要交換」といった指摘がパレットに関して出ている場合は、速やかに理事会で対応を協議してください。ただし、点検では目視で確認できる範囲に限られるため、裏面やフレーム内部の腐食は見落とされることもあります。
Q. パレットだけ交換することはできますか?
はい、パレット単体での交換は可能です。費用は1枚あたり30〜60万円程度が目安です。ただし、パレット以外の部品(チェーン、モーター、制御盤など)も老朽化している場合は、パレットだけ交換しても根本的な解決にはなりません。装置全体の状態を見て判断してください。
Q. 塗装の費用はどのくらいですか?
パレット塗装費用は1枚あたり10〜15万円が目安です。パレットの補修が必要な場合は、ZAM等の鋼板をボルト止めまたは溶接で取り付ける方法があり、その分の費用が加算されます。
Q. 地下ピットのパレットの腐食を防ぐ方法はありますか?
地下ピットの湿気を完全に排除するのは難しいため、腐食を「防ぐ」というよりも「進行を遅らせる」という考え方が現実的です。定期的な塗装の実施と、排水ポンプの適切な維持管理がポイントになります。
パレットの劣化は「見えないリスク」
パレットは見えない場所で腐食が進行しやすく、放置すると安全性の低下や使用禁止、高額な修繕費用の発生につながります。「まだ大丈夫」で先送りにせず、保守点検報告書の確認、塗装周期(7〜8年)の遵守、装置全体の老朽化を踏まえた早めの判断が、住民の安全と財政を守ります。
まとめ:パレットの劣化は「見えないリスク」
機械式駐車場のパレットは、見えない場所で腐食が進行しやすく、放置すると安全性の低下や使用禁止、高額な修繕費用の発生につながります。
管理組合として重要なのは以下の3点です。
- 保守点検の報告書でパレットの状態を定期的に確認する
- 塗装の再施工時期(7〜8年ごと)を逃さない
- 稼働率や装置全体の老朽化状況を踏まえ、塗装で延命するか平面化に踏み切るかを早めに判断する
パレットの劣化は、管理組合が気づかないうちに進行する「見えないリスク」です。「まだ大丈夫」で先送りにせず、定期的な確認と早めの判断が、住民の安全と管理組合の財政を守ることにつながります。










