機械式駐車場のリニューアル費用があまりに高額だったため、「それならいっそ平面化してしまおう」と考える管理組合が増えています。ところが、いざ見積を取ってみると予想を大きく上回る金額に戸惑うことも。
なぜ、コスト削減のはずの平面化工事が、これほど高額になってしまうのか。その背景には、見えにくい中間マージンの構造や、特定の業者と結びついた不適切なコンサルタントの存在があるかもしれません。この記事では、平面化工事の費用が高くなる仕組みと、注意すべき実態についてわかりやすく解説していきます。
大規模修繕と同じ?コンサル癒着の構造
大規模修繕工事の分野では、過去に不適切なコンサルタントが問題となり、国土交通省が注意喚起を行うまでに至りました。住民の利益よりも、自身の報酬や癒着する業者の利益を優先し、裏でバックマージン(リベート)を受け取るコンサルが存在したのです。
平面化工事にも潜む“見えない仕組み”
このような構造は、機械式駐車場の平面化工事でも決して珍しい話ではありません。平面化はまだ比較的新しい取り組みであることから、施工内容や費用の判断に戸惑う管理組合も多く、情報の非対称性につけ込んだ不透明な契約や誘導が起きやすい土壌があるのが現実です。
ただし、すべてのコンサルタントが問題を抱えているわけではなく、誠実に中立的な立場で支援する専門家も多く存在しています。
工事費が高くなる本当の理由とは?
表の報酬と裏のバックマージン
特に問題なのは、コンサルタントが表向きは「設計監理料」や「アドバイザリー費用」などを管理組合から受け取りながら、同時に工事業者からもバックマージン(キックバック)を受け取っているケースです。
これは決して一部の例外ではなく、工事費用の10%程度を業者から受け取る“二重取り”が珍しくないという実態があります。
管理会社も受け取る“営業協力金”
そこにさらに、マンション管理会社が工事業者から受け取る「営業協力金」や「紹介手数料」が加わることで、合計で最大30%近くまで費用が水増しされるケースもあるのです。
想定される報酬構造 | 割合(目安) |
---|---|
コンサルタントへのバックマージン | 約10% |
管理会社への営業協力金・紹介手数料 | 10〜20% |
合計で水増しされる可能性 | 最大約30% |
つまり、見積書に記載された金額の中には、実際の施工に使われない「外部への報酬」が数百万円単位で含まれている可能性があるということです。
見せかけの競争に注意!
さらに悪質なのは、複数業者から見積を取って“競争があるように見せかける”手法です。一見すると公平な比較が行われているように見えますが、実際にはあらかじめバックマージン率の高い業者が有利になるよう価格調整がなされるケースもあります。
よくある手口の例
行為 | 実態 |
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“親切な第三者”を装って接近 | 「理事会のお手伝いをします」と入り込み、実は工事業者とつながっている |
“相見積を取るべき”という一見正しい主張 | しかし紹介される業者はあらかじめ決まっており、実質は競争性がない |
“手数料はもらっていません”という説明 | 表向き無料でも、裏では工事業者から10~20%の報酬を受け取っている |
“競争見積”を装いながら価格調整 | 最終的には最も高いバックマージンを出す業者が受注できるよう調整される |
こうした“見せかけの競争”は、管理組合が公正な判断を下す上で極めて大きな障害となります。数字だけではなく、その背景の仕組みまで正しく見抜くことが求められます。
まとめ
機械式駐車場の平面化工事では、見積価格の中に隠された“中間マージン”が大きな負担となっている場合があります。コンサルタントによるバックマージン(10%程度)と、管理会社が受け取る営業協力金(10~20%程度)が積み重なり、本来の工事費よりも大幅に割高になる構造ができあがってしまうのです。
さらに、こうした費用は見積金額の中に違和感なく組み込まれているため、理事会が「適正な価格」と信じて進めてしまうリスクもあります。すべてのコンサルや管理会社が不適切というわけではありませんが、業界の慣習的な仕組みが、知らぬ間に管理組合の予算を圧迫していることもある――その前提を理解したうえで、誰に平面化工事を依頼するかは、特に慎重な判断が求められます。