1. 基礎知識
  2. 車を買ったのに停められない!?機械式駐車場でありがちな車庫証明の盲点

公開日:

車を買ったのに停められない!?機械式駐車場でありがちな車庫証明の盲点

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車を買ったのに停められない!?機械式駐車場でありがちな車庫証明の盲点

マンションの機械式駐車場を使うつもりで車の購入を決めたのに、「車庫証明が取れない」「購入手続きが進まない」といった思わぬトラブルに直面するケースがあります。

車両のサイズだけでなく、マンションの管理規約にも合致していないと、駐車できる車でも正式に使用が認められないことがあるのです。


この記事では、分譲マンションにおける車庫証明取得の落とし穴と、事前に確認しておくべきポイントについて学んでいきます。

車庫証明とは?まず知っておきたい基本

「車庫証明(自動車保管場所証明書)」とは、車を保管する場所が確保されていることを証明するための書類です。普通車を購入する際や住所変更をしたときに、原則として必要になります。

タイミング必要になる理由
新車・中古車の購入時登録時に必要(普通車の場合)
引越し後車の保管場所変更の届け出が必要
所有者の名義変更一部のケースで再提出が必要

※軽自動車の場合、一部地域では「保管場所届出書」の提出で済むこともあります。

分譲マンションでの機械式駐車場の使用には管理規約や使用細則の確認が不可欠

機械式駐車場の使用にあたっては、管理規約や使用細則で定められた「使用可能車両の条件」を満たしているかの確認が不可欠です。

この条件は、メーカーが定める設備の仕様(寸法・重量・最低地上高など)とは異なる場合が多く、たとえば設備上は1,850kgまで対応していても、管理規約では1,800kg未満に制限されているなど、マンションごとに独自のルールが運用されていることもあります。

リジカル

意外と見落とされがちなのが「使用細則」です。

管理規約には明確な記載がなくても、使用細則で細かい制限が設けられているケースがあります。たとえば、「騒音の大きな車両は禁止」「改造車不可」「SUVは事前承認が必要」など、設備仕様とは別の理由で承諾が得られないこともあるのです。

分譲マンションにおける車庫証明取得手続きの流れ

分譲マンションで車庫証明を取得するには、共用部分である駐車場の使用に関して管理組合の承諾が必要です。

管理規約や使用細則に適合していなければ、「使用承諾証明書」が発行されず、結果として車庫証明も取得できないことになります。

リジカル

「車両が特殊なケースでは、理事会での協議が必要になることもあり、使用承諾証明書の発行に想定以上の時間がかかることがよくあります。納車スケジュールがある場合は、余裕を持って早めに申請の相談を始めましょう。

ここで注意したいのは、管理組合が「この車両は規約に反する」と判断した場合、使用承諾証明書が発行されず、結果として車庫証明も取れないという点です。

車庫証明が取得できないと、ディーラーでの購入契約や登録手続きが進められず、結果として「車が買えない」という深刻な事態につながるおそれがあります。

車庫証明取得の流れ

入庫可否の確認

駐車場の規格票と購入予定車両のサイズ・重量を照合し、管理会社または理事会に相談

STEP
1

使用承諾証明書の依頼

管理組合に「車両を保管場所として使用する承諾書類」を発行してもらうよう申請

STEP
2

管理規約との適合確認

使用承諾証明書の発行は、管理規約・細則の範囲内の車両であることが前提条件

STEP
3

警察署へ提出書類の準備

証明書、配置図、申請書など必要書類をそろえ、所轄警察署へ申請

STEP
4

車庫証明の交付

申請後、数日程度で「納入通知書兼領収書」が発行され、交付日が指定されます

STEP
5

警察署での受け取り手続き

交付日になったら、発行通知書と印紙または領収済書を持参。

STEP
6

注意:車庫証明の申請手続きに関しては、地域による運用の違いや最新制度があるため、詳しい内容については、車を購入予定のディーラーや管轄の警察署へご確認ください。

車庫証明は取れたのに、実際は駐車できない?設備的な盲点に注意


駐車パレットの中央部が盛り上がっているケースも多い
駐車パレットの中央部が盛り上がっているケースも多い

車庫証明は、原則として「保管場所としての使用承諾書類」があれば取得できます。しかし、これはあくまで書類上の話であり、実際に駐車場へ入庫できるかどうかは別問題です。

たとえば次のようなケースでは、車庫証明が問題なく取得できたにもかかわらず、実際に駐車できなかったという事例があります:

  • 装備や追加パーツによる想定外の制限超過 ルーフキャリア、社外アンテナ、リアウイング、サイドバイザーなどがわずかに飛び出していることでセンサーが作動し、入庫ができない例があります。
  • 最低地上高が基準未満で、パレットの中心が車体下部に干渉するケース 特にスポーツタイプの車やエアロパーツ付きの車両では、パレットの中央部分が車体に接触するおそれがあります。
  • タイヤ幅や軸距が規定を超えていてガイドレールに収まらないケース ワイドタイヤやカスタムホイールの影響で、ガイドレールにきちんと収まらず、装置が正しく作動しないという例があります。
  • 車止めによりオーバーハング部分が干渉するケース フロントまたはリアのオーバーハングが長すぎると、車止めに当たってパレットに正しく乗らない、あるいは車両の一部が装置と干渉するなどの問題が発生します。

これらは、管理組合の承諾が得られ「保管場所としての使用承諾書類」が取得できたからといって必ずしも“安全に使える”ことを保証するものではないということを示しています。

とくに最新のSUVやミニバンでは、ボディデザインやタイヤ構造が特殊な場合もあり、図面上OKでも実際はNGというパターンが増えています

したがって、車庫証明取得前後に実車での入庫確認を行うことが非常に重要です。管理会社に立ち会いを依頼し、安全に駐車できるかを実際にチェックしておくことで、後悔のない判断ができます。

購入前に確認しておきたいチェックポイント

以下の項目を購入前に確認しておくことで、車庫証明が取れずに車を使えない、車高証明は取得できたけど、実際には駐車場に入庫できないといったトラブルを未然に防げます。

  • 購入予定車両のサイズと重量を確認する
    (幅・長さ・高さ・重量・最低地上高を機械設備の規格票と照合)
  • 管理規約・使用細則での使用条件を確認する
    (設備スペックだけでなく、独自の運用制限がある場合も)
  • 実車での入庫テストが可能か管理会社に相談する
    (ミラー・スポイラー・ルーフレールなどの干渉リスク確認)
  • 使用承諾証明書の発行手続きや所要日数を確認する
    (理事会の決議を経る場合、即日対応されないことも)

まとめ

マンションの機械式駐車場で車庫証明を取得するには、設備の仕様と管理規約の両方に合致した車両であることが必要条件です。

せっかく車の購入を決めたにもかかわらず、管理組合が定めた規約と不一致だったために駐車できない、車庫証明も取得できないという事例は決して珍しくありません。

とくに分譲マンションでは、「使用承諾証明書の発行=管理組合の承諾」が前提となるため、規約に適合しない車両にはそもそも証明書が発行されず、登録も購入もできなくなってしまいます。

マンションの機械式駐車場で車庫証明を取得するには、設備の仕様と管理規約・使用細則の両方に合致した車両であることが必須条件です。

さらに注意すべきは、「車庫証明が取得できたからといって、必ずしも駐車できるとは限らない」という点です。


機械式駐車場では、最低地上高、車体の形状、タイヤ幅、突起物などが影響し、設備上の安全が確保できないと判断されると、実際の入庫ができないことがあります。

こうした事態を防ぐには、管理規約の確認、入庫の可否、実車による確認、そして使用承諾証明書の発行条件の理解が不可欠です。


「車庫証明が取得できない」「証明は取れたけど使えない」といったトラブルを避けるためにも、事前にしっかり確認を行い、焦らず慎重に進めるようにしましょう。

あわてて契約を進める前に、マンションのルールと設備に本当に合うかをしっかり確かめましょう。

投稿者プロフィール

機械式駐車場の相談窓口
機械式駐車場の相談窓口
機械式駐車場の維持管理・リニューアル・解体平面化等に関する専門的な情報提供や、無料コンサルティングを行っています。複雑で不透明になりがちな分野だからこそ、皆さまが納得して判断できるよう、わかりやすく中立的な支援を心がけています。

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車を買ったのに停められない!?機械式駐車場でありがちな車庫証明の盲点

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車を買ったのに停められない!?機械式駐車場でありがちな車庫証明の盲点

マンションの機械式駐車場を使うつもりで車の購入を決めたのに、「車庫証明が取れない」「購入手続きが進まない」といった思わぬトラブルに直面するケースがあります。

車両のサイズだけでなく、マンションの管理規約にも合致していないと、駐車できる車でも正式に使用が認められないことがあるのです。


この記事では、分譲マンションにおける車庫証明取得の落とし穴と、事前に確認しておくべきポイントについて学んでいきます。

車庫証明とは?まず知っておきたい基本

「車庫証明(自動車保管場所証明書)」とは、車を保管する場所が確保されていることを証明するための書類です。普通車を購入する際や住所変更をしたときに、原則として必要になります。

タイミング必要になる理由
新車・中古車の購入時登録時に必要(普通車の場合)
引越し後車の保管場所変更の届け出が必要
所有者の名義変更一部のケースで再提出が必要

※軽自動車の場合、一部地域では「保管場所届出書」の提出で済むこともあります。

分譲マンションでの機械式駐車場の使用には管理規約や使用細則の確認が不可欠

機械式駐車場の使用にあたっては、管理規約や使用細則で定められた「使用可能車両の条件」を満たしているかの確認が不可欠です。

この条件は、メーカーが定める設備の仕様(寸法・重量・最低地上高など)とは異なる場合が多く、たとえば設備上は1,850kgまで対応していても、管理規約では1,800kg未満に制限されているなど、マンションごとに独自のルールが運用されていることもあります。

リジカル

意外と見落とされがちなのが「使用細則」です。

管理規約には明確な記載がなくても、使用細則で細かい制限が設けられているケースがあります。たとえば、「騒音の大きな車両は禁止」「改造車不可」「SUVは事前承認が必要」など、設備仕様とは別の理由で承諾が得られないこともあるのです。

分譲マンションにおける車庫証明取得手続きの流れ

分譲マンションで車庫証明を取得するには、共用部分である駐車場の使用に関して管理組合の承諾が必要です。

管理規約や使用細則に適合していなければ、「使用承諾証明書」が発行されず、結果として車庫証明も取得できないことになります。

リジカル

「車両が特殊なケースでは、理事会での協議が必要になることもあり、使用承諾証明書の発行に想定以上の時間がかかることがよくあります。納車スケジュールがある場合は、余裕を持って早めに申請の相談を始めましょう。

ここで注意したいのは、管理組合が「この車両は規約に反する」と判断した場合、使用承諾証明書が発行されず、結果として車庫証明も取れないという点です。

車庫証明が取得できないと、ディーラーでの購入契約や登録手続きが進められず、結果として「車が買えない」という深刻な事態につながるおそれがあります。

車庫証明取得の流れ

入庫可否の確認

駐車場の規格票と購入予定車両のサイズ・重量を照合し、管理会社または理事会に相談

STEP
1

使用承諾証明書の依頼

管理組合に「車両を保管場所として使用する承諾書類」を発行してもらうよう申請

STEP
2

管理規約との適合確認

使用承諾証明書の発行は、管理規約・細則の範囲内の車両であることが前提条件

STEP
3

警察署へ提出書類の準備

証明書、配置図、申請書など必要書類をそろえ、所轄警察署へ申請

STEP
4

車庫証明の交付

申請後、数日程度で「納入通知書兼領収書」が発行され、交付日が指定されます

STEP
5

警察署での受け取り手続き

交付日になったら、発行通知書と印紙または領収済書を持参。

STEP
6

注意:車庫証明の申請手続きに関しては、地域による運用の違いや最新制度があるため、詳しい内容については、車を購入予定のディーラーや管轄の警察署へご確認ください。

車庫証明は取れたのに、実際は駐車できない?設備的な盲点に注意


駐車パレットの中央部が盛り上がっているケースも多い
駐車パレットの中央部が盛り上がっているケースも多い

車庫証明は、原則として「保管場所としての使用承諾書類」があれば取得できます。しかし、これはあくまで書類上の話であり、実際に駐車場へ入庫できるかどうかは別問題です。

たとえば次のようなケースでは、車庫証明が問題なく取得できたにもかかわらず、実際に駐車できなかったという事例があります:

  • 装備や追加パーツによる想定外の制限超過 ルーフキャリア、社外アンテナ、リアウイング、サイドバイザーなどがわずかに飛び出していることでセンサーが作動し、入庫ができない例があります。
  • 最低地上高が基準未満で、パレットの中心が車体下部に干渉するケース 特にスポーツタイプの車やエアロパーツ付きの車両では、パレットの中央部分が車体に接触するおそれがあります。
  • タイヤ幅や軸距が規定を超えていてガイドレールに収まらないケース ワイドタイヤやカスタムホイールの影響で、ガイドレールにきちんと収まらず、装置が正しく作動しないという例があります。
  • 車止めによりオーバーハング部分が干渉するケース フロントまたはリアのオーバーハングが長すぎると、車止めに当たってパレットに正しく乗らない、あるいは車両の一部が装置と干渉するなどの問題が発生します。

これらは、管理組合の承諾が得られ「保管場所としての使用承諾書類」が取得できたからといって必ずしも“安全に使える”ことを保証するものではないということを示しています。

とくに最新のSUVやミニバンでは、ボディデザインやタイヤ構造が特殊な場合もあり、図面上OKでも実際はNGというパターンが増えています

したがって、車庫証明取得前後に実車での入庫確認を行うことが非常に重要です。管理会社に立ち会いを依頼し、安全に駐車できるかを実際にチェックしておくことで、後悔のない判断ができます。

購入前に確認しておきたいチェックポイント

以下の項目を購入前に確認しておくことで、車庫証明が取れずに車を使えない、車高証明は取得できたけど、実際には駐車場に入庫できないといったトラブルを未然に防げます。

  • 購入予定車両のサイズと重量を確認する
    (幅・長さ・高さ・重量・最低地上高を機械設備の規格票と照合)
  • 管理規約・使用細則での使用条件を確認する
    (設備スペックだけでなく、独自の運用制限がある場合も)
  • 実車での入庫テストが可能か管理会社に相談する
    (ミラー・スポイラー・ルーフレールなどの干渉リスク確認)
  • 使用承諾証明書の発行手続きや所要日数を確認する
    (理事会の決議を経る場合、即日対応されないことも)

まとめ

マンションの機械式駐車場で車庫証明を取得するには、設備の仕様と管理規約の両方に合致した車両であることが必要条件です。

せっかく車の購入を決めたにもかかわらず、管理組合が定めた規約と不一致だったために駐車できない、車庫証明も取得できないという事例は決して珍しくありません。

とくに分譲マンションでは、「使用承諾証明書の発行=管理組合の承諾」が前提となるため、規約に適合しない車両にはそもそも証明書が発行されず、登録も購入もできなくなってしまいます。

マンションの機械式駐車場で車庫証明を取得するには、設備の仕様と管理規約・使用細則の両方に合致した車両であることが必須条件です。

さらに注意すべきは、「車庫証明が取得できたからといって、必ずしも駐車できるとは限らない」という点です。


機械式駐車場では、最低地上高、車体の形状、タイヤ幅、突起物などが影響し、設備上の安全が確保できないと判断されると、実際の入庫ができないことがあります。

こうした事態を防ぐには、管理規約の確認、入庫の可否、実車による確認、そして使用承諾証明書の発行条件の理解が不可欠です。


「車庫証明が取得できない」「証明は取れたけど使えない」といったトラブルを避けるためにも、事前にしっかり確認を行い、焦らず慎重に進めるようにしましょう。

あわてて契約を進める前に、マンションのルールと設備に本当に合うかをしっかり確かめましょう。

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