投稿日:

その見積書、大丈夫?機械式駐車場パレット塗装で後悔しないための確認ポイント

その見積書、大丈夫?機械式駐車場パレット塗装で後悔しないための確認ポイント

機械式駐車場のメンテナンスで見落とされがちなのが、車を載せる「パレット」の塗装です。雨や雪、融雪剤によるサビは想像以上に早く進行し、安全性に直接影響を及ぼします。パレット塗装工事は7~10年に1度、数百万円規模になることもあるため、見積内容のチェックが極めて重要です。この記事では、パレット塗装工事の見積書で確認すべきポイントをやさしく解説していきます。

パレット塗装で最も大事なのは“下地処理”

パレットは車のタイヤが常に出入りするため、塗装前の「下地処理(ケレン作業)」が塗装の寿命を大きく左右します。ケレンとは古い塗膜やサビを落とす作業で、ここが不十分だと塗膜がすぐに剥がれ、数年で再塗装が必要になることも。

サビの程度と下地処理方法

サビの程度下地処理方法
軽度手作業ケレン(ワイヤーブラシ、サンドペーパー)
中~重度電動工具ケレン、サビ転換剤併用など

見積書には「ケレン方法」や「サビ転換剤使用の有無」が記載されているかを必ず確認しましょう。

ただし注意したいのは、ケレン作業をやりすぎると、鉄そのものが削られてしまい、構造の強度が弱くなってしまうおそれがあるという点です。特に築年数が経った機械式駐車場では、すでに内部まで腐食が進んでいるケースも多く、サビを「どこまで落とすか」の見極めこそ、施工業者の技術と経験が問われるポイントです。

つまり、「ケレン=とにかく丁寧に落とせば安心」ではなく、鉄部の状態を見ながら“必要な範囲で”処理を行うことが大切です。健全な部分を傷つけずに仕上げるバランス感覚が、長持ちする塗装につながります。

塗料の選定と「滑り止め仕上げ」は安全性に直結

パレットの塗装には、耐久性と防滑性(滑り止め)の両方が求められます。特に雨天時のスリップを防ぐには、砂骨材を使った防滑塗装が有効です。

使用塗料と特徴

塗料の種類特徴
ウレタン塗料安価で扱いやすいが、耐久性はやや劣る
エポキシ塗料密着性・耐久性が高く、再塗装周期が長い
防滑塗料砂骨材入りで滑り止め効果があり、安全性が高い

見積書には防滑仕上げの有無、使用する塗料の種類やメーカー名が記載されているかを確認しましょう。

「3回塗り」が基本。耐久性とコストのバランスを

塗装工事の基本は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗り。回数を省略してコストを抑えると、塗膜が薄くなり劣化が早まる原因になります。

ただし、どんなに丁寧に施工しても錆の再発は時間の問題。過信せず、将来的な再塗装も視野に入れつつ、耐久性とコストのバランスを考えることが重要です。

塗装回数や各工程の塗料仕様が明記されているかを見積書で確認しましょう。

工事工程と運用への配慮も重要

住民の生活に支障が出ないよう、工事スケジュールや運用への配慮も確認ポイントです。たとえば:

  • 駐車不可となる時間帯
  • 工区分けの有無(段階的施工の工夫)
  • 住民通知の方法(掲示・チラシなど)

こうした情報が工程表や見積書に含まれているか、また住民対応の計画があるかも確認しておくと安心です。

見積書で確認すべきポイントまとめ表

項目確認すべき内容
下地処理ケレン方法/サビ転換剤の有無/過剰処理の有無
使用塗料種類・メーカー名/防滑仕上げの有無
施工回数原則「3回塗り」/塗膜厚の確保
工事工程駐車制限の時間帯/工区分けの有無
運用配慮通知方法(掲示・チラシなど)/居住者配慮の記載

まとめ

機械式駐車場のパレット塗装は、サビの進行を抑え、安全性を保つために欠かせないメンテナンスであり、7~10年に1度は必要となる高額な工事です。特に管理会社を通じた見積は中間マージンが含まれることが多く、内容を精査せずに鵜呑みにすると後悔するケースも少なくありません。見積書では、下地処理の内容、塗料の種類、防滑性、塗装回数、工事スケジュールまで丁寧に確認し、相見積もりも活用して納得のいく選定を行いましょう。また、塗装の耐久性に過信は禁物であり、再塗装を前提とした計画的な維持管理こそが現実的です。理事会としては、初期コストと将来費用のバランスを見極め、価格だけではなく「工事の中身」で判断する姿勢が求められます。適切な選択が、安全で長持ちする駐車場の維持につながります。

PAGE TOP