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マンション理事必見!機械式駐車場の点検業者を選ぶ前に知っておきたい基礎知識

機械式駐車場の点検業者を選ぶ前に知っておきたい基礎知識

マンションの共用設備である機械式立体駐車場は、住民の安全や資産価値に関わる重要な施設です。

その点検やメンテナンスをどの業者に任せるかは、管理組合にとって大きな判断ポイントとなります。

契約の仕組みや業者のタイプをしっかり理解することが、後悔しない選定への第一です。

この記事では、点検業者の選び方に焦点を当て、契約形態の違いや業者の特徴、信頼できる業者を見極めるポイントについて学んでいきます。

点検業者選びの重要性と契約形態の違い

機械式駐車場は精密な機構をもつ設備であり、定期的な点検と整備が欠かせません。そのため、保守契約をどう結ぶかも重要な判断材料となります。契約形態には主に次の2種類があります。

契約形態内容メリットデメリット
フルメンテナンス契約点検・清掃・調整・部品交換などをすべて含む追加費用が発生しにくく、予算管理がしやすい月額費用が高めで、対応可能な業者が限られる
POG契約点検と一部の消耗部品交換・給油を含む月額費用を抑えられる修理ごとに追加費用が発生し、理事会の判断が都度必要になる
山田俊介

現実には、機械式駐車場ではPOG契約が主流です。
これは、エレベーターとは異なり、多くのメンテナンス会社が機械式駐車場向けにフルメンテナンス契約を用意していないためです。
その結果、部品交換費用が別途発生するPOG契約(点検・油脂類・調整を含む契約)が、管理組合の標準的な選択肢となっているのが実情です。

近年はフルメンテナンス契約に対応する業者が減少しており、POG契約が一般的になりつつあります。契約内容をよく理解したうえで、柔軟かつ信頼できる業者の選定が求められます。

業者の種類:メーカー系と独立系の違い

点検業者には「メーカー系」と「独立系」の2つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。どちらがよいかはマンションの設備構成や予算状況によって異なります。

山田俊介

点検業者は、分譲時にメーカー系が選ばれていることが一般的です
機械式駐車場の点検業者には「メーカー系」と「独立系」がありますが、分譲当初はメーカー系が指定されていることが多く、特に変更されていなければそのまま継続しているケースがほとんどです。

メーカー系業者の特徴

  • 自社製品の点検・修理に特化
  • 純正部品の調達が容易
  • 製品の構造や仕様に精通

メリット

  • 特殊な構造の駐車場にも対応できる
  • 故障の原因究明が早い傾向にある

デメリット

  • 費用が高くなりがち
  • 他社製品が混在している場合は非対応の可能性あり

独立系業者の特徴

  • メーカーに属さず、複数メーカーの機種に対応
  • 幅広い製品知識と柔軟な対応力

メリット

  • 複数の機種を一括で管理可能
  • コストパフォーマンスに優れる

デメリット

  • 技術力に差がある場合があるため、実績や評判の確認が必須
  • 純正部品の調達に時間がかかることがある
メーカー系 vs 独立系、どっちに点検を任す?マンションの機械式駐車場メンテナンス会社の比較ガイド

マンション管理組合向けに、機械式駐車場の点検業者をメーカー系と独立系で比較。特徴・価格・選び方のポイントを解説します。

信頼できる点検業者を選ぶためのチェックポイント

点検業者を選定する際は、以下の点を総合的にチェックしましょう。

チェック項目内容
対応の速さ故障時に迅速な対応が可能か
説明の丁寧さ修理内容や費用説明が明確で分かりやすいか
実績の豊富さ多様な機械式駐車場に対する保守経験があるか
提案力状況に応じた改善策を提示できるか

また、複数社から見積もりを取得して比較することも重要です。価格だけでなく、対応力や信頼性も見極めるポイントとなります。

見積もり比較で失敗しないための「3つの視点」

複数社から見積もりを取る際は、総額だけを見るのではなく、以下の3つの視点で詳細を比較することが不可欠です。

1. 点検の「頻度」と「深度」

  • 点検回数は年間何回(毎月、隔月、四半期ごとなど)設定されていますか。
  • POG契約の場合、契約に含まれる「消耗品(油脂類など)」の範囲はどこまでですか。
  • 点検項目表(作業基準表)が提示されており、どのような内容をチェックするかが明確ですか。

2. 緊急時・故障時の「対応力」

  • 緊急連絡は24時間365日受け付けていますか。
  • 故障発生時、何分以内に駆け付けるという目安(あるいは実績)がありますか。
  • 休日や夜間の出動に追加費用(出張料・作業料)はかかりますか。

3. 技術力と実績

  • ご自身のマンションにある機械式駐車場と「同型機種」の保守実績は豊富ですか。
  • 点検を担当する技術者は、専門の研修を受けたスタッフですか。

機械式駐車場の点検は法的義務なのか?

機械式駐車装置の保守点検は、法的にどの程度求められているのでしょうか。

現在のところ、立体駐車設備の定期的な点検を一律に義務付ける法律は存在しません。例えば、昇降機(エレベーター)には建築基準法に基づく年1回の法定検査が必須ですが、機械式駐車場にはこれに相当する厳格な法的検査制度が設けられていないのが実情です。

しかし、法令による強制力がないことが、点検を不要とする理由にはなりません。設備のオーナーや管理組合といった管理者には、利用者の安全を守るべき「安全配慮義務」が課せられています。

国土交通省が示す「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」においても、専門業者による定期的な保守点検を通じて、設備を常に安全な状態に保つよう求めています。同指針は、管理者が自ら点検を実施しない場合、保守会社と契約を結び、設備の使用状況に応じた周期で点検を行わせるべき、としています。

この指針に法的な拘束力はないものの、万が一メンテナンス不備が原因で事故が発生すれば、管理者は重大な責任を問われかねません。民事上の損害賠償はもちろん、業務上過失致死傷といった刑事責任に発展するリスクもあります。過去の事故には、適切な点検で予防できたはずのケースも多く含まれます。

「安全配慮義務」を果たすために管理組合がすべきこと

ガイドラインの指針や安全配慮義務を踏まえ、管理組合(理事会)は具体的に以下の行動をとることが求められます。

  • 点検報告書の確認と保管:
    専門業者から提出される点検報告書を「受け取りっ放し」にせず、必ず内容を確認しましょう。指摘事項の有無をチェックし、理事会で共有・保管することが重要です。
  • 指摘事項への迅速な対応:
    報告書に「要修繕」「要交換」といった重大な指摘があった場合、絶対に放置してはいけません。速やかに理事会で協議し、必要な修繕の予算措置や実施を決議します。放置した結果の事故は、管理者の責任が厳しく問われます。
  • 利用者への注意喚起:
    「安全装置があるから大丈夫」と過信せず、利用者(住民)に対し、正しい操作方法や禁止事項(例:子供だけで操作させない、パレットの動作範囲内に立ち入らない)を記した掲示物などで、定期的に注意喚起を行うことも管理者の大切な役割です。

したがって、直接的な法的義務の有無にかかわらず、利用者の安全確保と管理責任の観点から、専門家による定期点検は「事実上、不可欠」なものと言えます。

まとめ

機械式立体駐車場の安全性と機能性を維持するためには、適切な点検業者の選定が不可欠です。

契約形態としては、フルメンテナンス契約とPOG契約がありますが、近年ではフルメンテナンス契約に対応する業者が減少し、POG契約が主流となっています。

山田俊介

機械式駐車場の修理では、理事会に都度の判断が求められることも
機械式駐車場のPOG契約では、修理のたびに個別の費用が発生するため、その都度、理事会での判断や承認が必要になります。
この点は、多くの場合フルメンテナンス契約が結ばれており、費用が定額で済むエレベーターの維持管理とは異なり、理事会の負担が大きくなりがちなポイントです。

POG契約では、修理の都度費用が発生し、理事会での判断が求められるため、迅速な対応や明確な説明、豊富な実績、適切な提案力を持つ信頼できる業者を選ぶことが重要です。

また、点検業者はメーカー系と独立系に分かれ、それぞれにメリット・デメリットがあります。

マンションの状況や予算に応じて、適切な業者を選定し、住民の安全と資産価値を守るための維持管理を行いましょう。


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