
古くなって使われなくなった機械式駐車場、増えてきた空き区画、年々かさむ修繕費用。こうした悩みを抱えるマンションでは、機械式駐車場を撤去し、シンプルな「平面駐車場」に変える「平面化」という選択肢が注目されています。この記事では、平面化の基本や工法の種類、費用や工事の流れ、住民対応のポイントまで、初心者の方にもわかりやすくご紹介していきます。
そもそも「平面化」ってなに?
平面化とは、機械の仕組みを使って上下に車を動かしていた駐車場(機械式)を取り壊して、地面と同じ高さで駐車できる普通の駐車場に作り直すことをいいます。
このような平面化には、主に以下のようなメリットがあります。
- 空き区画を有効活用できる
- 高額なメンテナンス費が不要になる
- 利用者が操作を覚えなくても使える
一方で、撤去費用や工事期間、住民への周知なども必要になるため、理事会として事前の情報整理と計画立てが大切です。
平面化にはどんな方法があるの?
平面化には大きく分けて2つの工法があります。それぞれの特徴を簡単にまとめました。
工法名 | 工事の方法 | よい点 | 注意点 |
---|---|---|---|
埋め戻し工法 | 地下にあるピット(空間)を砕石や土で埋めて地面にする | 費用が比較的安い/多くの業者が対応可能 | 深いピットだと費用が増える/将来的に機械式に戻すのが難しい |
鋼製平面化工法 | 鉄骨と鋼板を使って床をつくり、空間は埋めない | 再び機械式に戻せる/工期が短め/地面への負担が少ない | 対応できる業者が少ない/排水や塗装の定期管理が必要 |
費用や工事期間はどのくらい?
マンションの構造や周辺環境にもよりますが、おおよその目安は以下のとおりです。
比較項目 | 埋め戻し工法 | 鋼製平面化工法 |
---|---|---|
初期費用 | 低〜中(深さにより変動) | 中〜高 |
工期の目安 | 約1〜2か月 | 約2〜4週間 |
再び機械式に戻せる? | 難しい | 可能(部材を再利用できることも) |
工事後の管理 | 少なめ(舗装の補修) | やや多め(塗装・排水ポンプ点検など) |
工事が終わったらそれで終わり?
いいえ、工事のあとにも定期的なメンテナンスが必要です。
- 埋め戻し工法の場合:地面のアスファルトやコンクリートが劣化した際の補修
- 鋼製平面化工法の場合:鉄板の防錆塗装の更新、排水設備(ポンプなど)の点検と交換
とくに鋼製工法では、地下に水がたまりやすい構造になっていることが多いため、排水設備の維持管理費が継続的にかかる点に注意しましょう。
住民の理解も大切です
工事中は、駐車場が使えなくなったり、音や振動が発生したりするため、住民の方への説明や配慮がとても大切です。
- 事前に説明会を開いて不安を解消
- 工事スケジュールを掲示や文書で周知
- 仮の駐車場を用意し、案内を明確に
- 工事中の安全な通行ルートを確保
理事会・管理会社・工事業者がしっかり連携して、「住民目線」で対応することが、トラブルを防ぎ、スムーズな進行につながります。
まとめ
機械式駐車場の平面化は、見た目の変化だけでなく、マンションの資産価値や住みやすさに関わる大きなプロジェクトです。
埋め戻し工法は費用を抑えられる一方、再び機械式に戻すことが難しいという特徴があります。鋼製平面化工法は、再活用やスピード感に優れていますが、維持管理面での負担もあります。
どちらの工法を選ぶにしても、マンションの将来を見据えて、住民の理解を得ながら計画的に進めることが大切です。信頼できる専門業者と協力し、安心・納得できるリニューアルを実現しましょう。