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機械式駐車場パレットの劣化と安全性の低下

機械式駐車場パレットの劣化と安全性の低下

マンションに設置されている機械式駐車場。その“足元”にあたるパレット部分は、普段あまり注目されないものの、安全性に直結する重要なパーツです。見た目には異常がなくても、内部でじわじわと進行する腐食が、思わぬ事故や使用禁止といったトラブルにつながることもあります。この記事では、パレットの腐食の実態と安全面のリスク、そして近年注目されている「解体・平面化」という新たな選択肢についてご紹介します。

1. 劣化は目に見えない場所から。パレット腐食の実態

パレットは、日々車の重みを直接受け止めている、機械式駐車場の中でも特に重要な部分です。初期型の多くは塗装仕上げが基本で、7〜8年ごとに再塗装が必要とされていますが、実際にはそのタイミングを逃したまま長年使用されているケースも見受けられます。

近年では、特に東北地方などで使われる融雪剤の影響により腐食の進行が早まり、5年ごとの再塗装が必要になるケースも。とくに湿気がたまりやすい地下ピットや、排水が不十分な地上階のパレット表面などは、腐食が顕著に進行する環境です。

腐食しやすい部位腐食を加速させる要因推奨される対応策
地下ピットの下端・フレーム湿気・水たまり・通風不足塗装・補修、必要に応じて交換
地上階のパレット表面融雪剤の付着、雨水、経年劣化5~7年ごとの塗装メンテナンス
タイヤストッパー周辺接触による摩耗、雨水の集中防錆塗装の実施・部品交換

2. 腐食の放置は危険。進行すると「乗り入れ禁止」に?

腐食が進行すると、パレット上部の縞鋼板が薄くなり、車の重さに耐えられず破損する危険性が出てきます。ストッパーの変形や、パレットのたわみが確認された場合は、すでに安全性が大きく損なわれていると判断する必要があります。

とくに2回目の塗装時期を見逃すと、リスクは一気に高まります。地下ピット内のように見えにくい場所では、下端やフレームの腐食が進んでも気づかれにくく、万が一これらの部位が脱落すると、大きな事故に発展する恐れもあります。補修や部分的な修繕では対応しきれず、最終的にはパレット交換や駐車場の解体が必要になる場合も少なくありません。

3. 解体と平面化を選ぶマンションが増えている理由

特に地下ピット2段式の機械式駐車場では、構造上湿気や水分の影響を受けやすく、築15年程度で腐食が深刻化し、解体を決断するケースが増加しています。

加えて、駐車場の利用率が年々下がっている状況も、管理組合の判断に影響を与えています。修繕を重ねるよりも、平面化して維持管理コストを削減するという選択肢をとるマンションが増えているのです。

こうした動きは、長期的なランニングコストと実際の使用状況を踏まえた合理的な判断ともいえます。今後さらに車の保有台数が減っていくと予想されるなか、平面化という選択は、多くのマンションにとって現実的な選択肢になりつつあります。

まとめ

機械式駐車場のパレットは、普段見えない部分でありながら、構造的にも安全面でも非常に重要な役割を担っています。特に湿気や融雪剤の影響を受けやすい環境では、腐食が思った以上に早く進行することがあり、放置すれば破損や事故、使用禁止に至るリスクも高まります。塗装や点検といった定期的なメンテナンスを欠かさず行うことが重要ですが、それでも劣化が進んでいる場合には、修繕を繰り返すのではなく、解体・平面化を検討するという選択肢も視野に入れるべき時代です。車の保有状況や維持費とのバランスを見極めたうえで、マンションごとに最適な判断を行うことが、これからの賢い管理のあり方と言えるでしょう。

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