
分譲マンションで暮らす方にとって、駐車場は生活の一部ともいえる大切な設備です。「もっと使いやすい場所がいいのに」「出し入れに時間がかかる」と感じたことがある方も多いでしょう。でもその駐車場、そもそも誰の所有物か、意識したことはありますか?この記事では、マンションの駐車場の所有形態と使用ルールのしくみをわかりやすく解説します。
「毎月払ってるんだから、私のもの」…ではない?
駐車場の使用料を毎月支払っていると、つい「自分の駐車スペース=自分の持ち物」と思ってしまいがちです。しかし、実際には多くのマンションで駐車場は共用部分とされており、管理組合がその所有者です。つまり、住民はそのスペースを「借りて使っている」というのが実態です。
駐車場の所有方式とは?
マンションにおける駐車場の所有方式には、主に賃貸方式と分譲方式の2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
所有方式 | 内容 | 主な採用例 |
---|---|---|
賃貸方式 | 管理組合が所有し、住民と使用契約を締結する | 一般的な分譲マンションの多く |
分譲方式 | 駐車場そのものに区分所有権がある | 一部の特殊なマンション |
このように、ほとんどのマンションでは賃貸方式が採用されています。
共用部分にはルールがある
マンションの設備は、「専有部分(各住戸)」と「共用部分(廊下・階段・駐車場など)」に分かれています。駐車場はこの共用部分に分類されるため、使用には管理規約に基づいたルールが存在します。
たとえば、「自分の駐車区画だから物置を置いてもOK」と思っていても、実際には共用部分に私物を置くことは原則禁止されています。トラブルを避けるためにも、管理規約や使用細則をしっかり確認しておきましょう。
標準管理規約の規定は?
国土交通省が示す「マンション標準管理規約」でも、駐車場の使用について明記されています。
第15条: 管理組合は、図に示す駐車場について、特定の区分所有者に駐車場使用契約により使用させることができる。
この条文からも分かるように、駐車場の使用は契約に基づいており、所有権が移るわけではありません。
分譲方式のマンションもあるけれど…
ごくまれに、駐車場を区分所有権付きで販売している「分譲方式」のマンションも存在します。この場合は所有者としてより自由な使い方が可能ですが、その分、管理や修繕の責任範囲も広がるケースがあります。
ただし、こうした形式は全体の中でも少数派。ほとんどのマンションでは、駐車場は管理組合が所有する共用部分とされているのが実情です。
まとめ
マンションの駐車場は、毎月使用料を支払っていても「自分の持ち物」ではないことが多く、実際には管理組合が所有し、賃貸契約に基づいて使わせてもらっている形が一般的です。これは駐車場が共用部分に分類され、利用には管理規約のルールがあるためです。物置や私物の放置が禁止されるのもその一環です。まれに分譲方式が採用されているマンションもありますが、あくまで例外。自分のマンションがどの方式なのかは管理規約を確認するのが確実です。トラブルを未然に防ぐためにも、「誰が所有しているのか」「どのように使用するべきか」を正しく理解して、快適で安全な駐車場利用を心がけましょう。