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理事なら知っておきたい!駐車場使用料の会計ルールと実務の実態

分譲マンションでの機械式立体駐車場の使用料の会計区分

機械式駐車場を備えた分譲マンションでは、その維持や修繕に多くの費用がかかるため、管理組合としての適切な費用管理が欠かせません。なかでも「駐車場使用料」をどのように会計処理するかは、マンションの将来を左右する重要なポイントです。この記事では、機械式立体駐車場の使用料の取り扱い方と、実際の運用実態について学んでいきます。

標準管理規約における「使用料」の考え方

国土交通省が示す「マンション標準管理規約(単棟型)」の**第29条(使用料)**では、次のように定められています。

項目内容
第29条(使用料)駐車場使用料等は、それらの管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てることができる。

この条文には補足的なコメントも記されており、機械式駐車場を有する場合は、維持・修繕費用が大きいため、管理費や修繕積立金とは別に会計処理することも可能とされています。

つまり、機械式駐車場の使用料については、独立した会計で管理することで、収支の透明性を高めることができるという考え方があるのです。

国の指針はどうなっている?

国土交通省が策定した「マンション管理標準指針」でも、駐車場使用料に関する考え方が示されています。

会計の区分指針上の評価
管理費・修繕積立金に組み入れる標準的な対応
駐車場使用料を別会計で管理より望ましい対応

つまり、多くのマンションが行っている「管理費・修繕積立金に組み入れる」方法は決して間違いではありませんが、駐車場専用の会計を設けた方が、より良い運用とされています

実際のマンションではどうしているのか?

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、

  • 管理費会計と修繕積立金会計を区分経理している管理組合は90.1%にのぼります。

しかし一方で、

  • 駐車場使用料を含む「その他の会計」を別途設けている割合についての明確な統計は示されていません

このことから、多くのマンションでは、駐車場使用料が他の費目に埋もれて管理されている可能性が高いといえるでしょう。

まとめ

機械式駐車場は、一般的な駐車場に比べて維持・修繕にかかるコストが大きいため、使用料の扱い方が非常に重要です。標準管理規約では使用料を管理費や修繕積立金に組み入れることができるとしつつも、特に機械式の場合には別会計での管理も可能であり、それが透明性の向上につながるとされています。また、国の標準指針でも「別会計での管理が望ましい」とされていることから、理事会としては将来の大規模修繕や更新に備え、今一度使用料の会計処理方法を見直すことが、長期的に見てマンション全体の資産価値を守ることにつながるでしょう。

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