
近年、分譲マンションや賃貸ビルに設置された機械式駐車場(機械式立体駐車場)が、深刻な問題となっています。「維持費が高すぎる」「利用者が減り空きだらけ」「車のサイズが合わず駐車できない」といった理由から、多くの管理組合やオーナーが、既存の機械式駐車場を撤去し、平置き(平面)駐車場化することを検討しています。
しかし、機械式駐車場、特に地下ピット(駐車装置が格納されている地下空間)を持つタイプを平面化するには、いくつかの工法が存在します。
中でも「鋼製平面化工法」は、その施工スピードと将来的な柔軟性から、近年非常に注目されている工法です。
この記事では、機械式駐車場の平面化を検討する上で知っておくべき「鋼製平面化工法」の基礎知識から、他の工法との詳細な比較、メリット・デメリット、そして撤去前に必ず確認すべき法的な注意点まで、網羅的に解説します。
- 1. なぜ今、機械式駐車場の撤去(平面化)が選ばれるのか?
- 1.1. 理由1:高額すぎる維持費と修繕積立金
- 1.2. 理由2:利用率の低下と車両サイズのミスマッチ
- 1.3. 理由3:安全性への懸念
- 2. 鋼製平面化工法とは?
- 3. 鋼製平面化工法のメリット(利点)
- 3.1. メリット1:建物や地盤への負荷が極めて軽い
- 3.2. メリット2:工期が埋め戻し工法より短い
- 3.3. メリット3:将来的な「再設置」が可能(可逆性)
- 3.4. メリット4:場所を選ばない適用性(屋内・軟弱地盤)
- 3.5. メリット5:低騒音・低振動での施工
- 4. 鋼製平面化工法のデメリットと管理上の注意点
- 4.1. デメリット1:初期工事コストが比較的高額
- 4.2. デメリット2:維持管理コストがゼロにはならない
- 4.2.1. ① 排水設備の維持管理
- 4.2.2. ② 鋼材の防錆メンテナンス
- 4.3. デメリット3:荷重制限の可能性
- 4.4. デメリット4:ピット内部の空間利用は原則不可
- 5. 鋼製平面化工法の施工手順
- 6. 鋼製平面化工法の「技術的な特長」とメーカー選び
- 6.1. 特長1:使用される高耐食性鋼板
- 6.2. 特長2:接合方法「ボルト接合」と「溶接」
- 6.3. 特長3:床材の幅や向き
- 6.4. メーカー選択の重要ポイント
- 7. 他の平面化工法との比較とコスト
- 7.1. 「埋め戻し工法」が適しているケース
- 7.2. 「平面化ロック工法」が適しているケース
- 7.2.1. その他の工法(EPS工法・鉄骨デッキスラブ工法)
- 8. 長期的なコスト計画と削減のヒント
- 9. 撤去の前に必ず確認すべき法的要件
- 9.1. 駐車場附置義務とは?
- 9.2. なぜ問題になるのか?
- 9.3. 【朗報】緩和措置の広がり
- 10. まとめ
なぜ今、機械式駐車場の撤去(平面化)が選ばれるのか?
鋼製平面化工法の解説に入る前に、なぜ今、多くのマンションで機械式駐車場の撤去が喫緊の課題となっているのか、その背景を整理します。
理由1:高額すぎる維持費と修繕積立金
機械式駐車場は「動く設備」であるため、建築物と比べて圧倒的に早いスピードで劣化します。税務上の法定耐用年数(減価償却の基準)に関しては、「機械式駐車設備」を15年としています。
安全に稼働させるためには、以下のような莫大なコストが継続的に発生します。
- 定期点検費用: 月々のメンテナンス契約料。(契約仕様により月次〜四半期など幅がある。)
- 部品交換費用: モーター、チェーン、制御基板などの消耗品交換。
- 大規模修繕(リニューアル)費用: 15年~20年に一度、数千万円単位での全体的な更新工事。
特に設置から20年以上が経過した駐車場では、部品の製造が終了(廃番)しているケースも多く、修理自体が困難になることもあります。これらのコストが、マンション全体の修繕積立金や管理費会計を圧迫する大きな要因となっています。
理由2:利用率の低下と車両サイズのミスマッチ
建設当時は必要とされた駐車場も、ライフスタイルの変化(若者の車離れ、高齢化による運転免許返納)により、空き区画が目立つようになりました。
さらに深刻なのが「車両サイズのミスマッチ」です。
当時の設計(1990年代~2000年代)では、セダンタイプの車が主流でした。しかし、現代ではSUVやミニバン、ハイトールワゴンなど、車幅が広く車高の高い車が人気です。その結果、「駐車場は空いているのに、自分の車が入らない」という事態が多発し、利用率の低下に拍車をかけています。
理由3:安全性への懸念
老朽化した機械式駐車場は、誤作動や故障のリスクが高まります。パレット(車を乗せる台)の落下事故や、操作ミスによる人身事故の危険性もゼロではありません。
これらの「コスト」「利用率」「安全性」の3つの問題を抜本的に解決する手段として、「機械式駐車場の撤去・平面化」が、今や多くの管理組合にとって現実的な選択肢となっているのです。
鋼製平面化工法とは?

鋼製平面化工法(こうせいへいめんかこうほう)とは、機械式駐車場を撤去した後に残る地下ピット(地下空間)を埋め戻さずに、その空間に鉄骨の柱や梁(はり)を組み上げ、その上に鋼製の床板(デッキプレート)を設置して、平らな駐車スペースを新設する工法です。
「鋼製床工法」や「鋼製床式」と呼ばれることもありますが、基本的には同じ工法を指します。この工法は、後述する「埋め戻し工法」のデメリットを克服するために開発され、近年急速に普及しています。
鋼製平面化工法のメリット(利点)
鋼製平面化工法が選ばれる理由には、他の工法にはない明確なメリットが存在します。

メリット1:建物や地盤への負荷が極めて軽い
最大のメリットは「周辺環境に悪影響を及ぼさない」ことです。埋め戻し工法では、ピットを埋めるために大量の砕石やコンクリート(数トン~数十トン)を使用します。この重量が、既存のピットの壁や床、さらには建物の基礎構造に対して、設計時に想定されていなかった負荷をかける可能性があります。特に軟弱地盤の場合、将来的な地盤沈下のリスクも懸念されます。
鋼製平面化工法は、H形鋼や鋼管といった軽量鉄骨と鋼板で構成されるため、埋め戻し工法と比較して圧倒的に軽量です。建物や地盤への追加荷重を最小限に抑えられるため、構造的な安全性が高い工法と言えます。
メリット2:工期が埋め戻し工法より短い
ピットを砕石や土砂で埋め戻す工法では、大量の資材搬入と転圧(締め固める作業)に時間がかかります。コンクリートを打設する場合は、さらに数週間の養生期間(コンクリートが固まるのを待つ期間)が必要です。
一方、鋼製平面化工法は、工場で加工された部材を現場で組み立てる(多くはボルト接合)作業が中心です。天候の影響を受けにくく、コンクリート養生のような待ち時間も不要なため、工期を埋め戻し工法の30%~50%程度に短縮できるケースも少なくありません。
メリット3:将来的な「再設置」が可能(可逆性)
これが鋼製平面化工法の決定的な特徴です。
ピット空間を埋めてしまわないため、将来、ライフスタイルの変化や居住者ニーズの変動により「やはり機械式駐車場が必要だ」となった場合、設置した鋼製床を解体・撤去し、再び機械式駐車場を再建することが可能です。
鋼製部材はボルト接合で組み立てられているため、分解も比較的容易です。これは、資産価値の維持や将来の選択肢を残す上で、非常に大きなメリットとなります。
メリット4:場所を選ばない適用性(屋内・軟弱地盤)
埋め戻し工法は、大量の砕石を積んだダンプトラックの進入や、転圧を行う重機のスペースが必要です。そのため、建物内部(屋内)や狭小地のピットには不向きな場合があります。
鋼製平面化工法は、部材を分割して搬入し、ピット内部で組み立てるため、重機の進入が難しい現場や屋内駐車場でも施工が可能です。
メリット5:低騒音・低振動での施工
砕石の搬入・転圧作業は、大きな騒音と振動を伴います。居住者がいる中での日中工事において、これは大きなストレスとなります。
鋼製平面化工法は、部材の組み立てが中心であり、振動を伴う作業が比較的少ないため、近隣住民や居住者への影響を最小限に抑えた施工が可能です。
鋼製平面化工法のデメリットと管理上の注意点
メリットが多い鋼製平面化工法ですが、当然ながらデメリットや、採用後に発生する特有の管理コストも存在します。

デメリット1:初期工事コストが比較的高額
専用の鋼製部材を使用し、高い精度で鉄骨を組み上げる専門技術が必要なため、単純な「埋め戻し工法」と比較した場合、初期工事費用は高くなる傾向があります。
ただし、工期の短縮による代替駐車場の費用削減や、将来的な再設置の可能性(資産価値)を考慮すれば、長期的な費用対効果は逆転する可能性もあります。
デメリット2:維持管理コストがゼロにはならない
鋼製平面化工法は、完全な「メンテナンスフリー」ではありません。以下の2つの継続的な管理が必要になります。
① 排水設備の維持管理
ピット空間がそのまま残るため、雨水や湧水が溜まった場合に備え、既存の排水設備(排水ポンプや配管)も残置します。この排水ポンプが故障するとピット内が水浸しになり、鉄骨の錆びや悪臭の原因となるため、平面化後も排水ポンプの定期的な点検・交換が必須です。このランニングコストを見込んでおく必要があります。
② 鋼材の防錆メンテナンス
床材や鉄骨には、高耐食性のめっき鋼板(後述)が使用されますが、永久に錆びないわけではありません。車のタイヤが運ぶ泥や砂、融雪剤(塩化カルシウム)、鳥のフンなどは錆の発生を促進します。
長期間使用するためには、15年~30年程度を目安とした防錆塗装の再施工や補修が必要になる場合があります。
デメリット3:荷重制限の可能性
鋼製床板には設計上の耐荷重制限(通常2.5トン、強化仕様で3トン程度)が設定されます。近年の大型SUVやEV(電気自動車)、特に高級輸入車の中には、車両総重量がこの制限を超える車種が存在します。
管理組合としては、平面化後に駐車できる車両の重量制限を規約で定め、周知する必要があります。
デメリット4:ピット内部の空間利用は原則不可
「ピット空間が残るなら、倉庫や駐輪場として使えないか?」という質問がよく挙がります。
しかし、建築基準法上、採光や換気、排煙設備のない地下空間を、居住者が日常的に使用する「倉庫」や「居室」として利用することは原則として認められていません。
安全管理上、点検口には施錠を行い、メンテナンス業者以外の立ち入りを禁止するのが一般的です。
鋼製平面化工法の施工手順
工事は大きく分けて「解体・撤去」と「平面化」の2ステップで進みます。

機械式駐車場の解体・撤去工程
機械式駐車場の解体・撤去は、まず駐車装置を分解する作業から始まります。
装置は、ボルトを外したり、ガス切断を行ったりして部品ごとに取り外し、ラフタークレーンやカニクレーンで吊り上げ、搬出用トラックに積み込み、敷地外へ運び出します。
建物内や狭小地に設置された装置では、重機が天井や壁に接触しないよう慎重な作業が求められます。また、地上複数段タイプの場合は高所作業も必要となり、安全対策も重要です。
このように、機械式駐車場の解体には一般住宅の解体とは異なる専門技術が必要であり、専門業者による対応が不可欠です。





平面化工程(鋼製平面化工法)
1. 地下ピットの清掃 解体完了後、ピットの底や壁面に長年蓄積した泥、油汚れ、ゴミを高圧洗浄機などで徹底的に清掃します。
2. 墨出し・アンカー設置 清掃後、ピットの底面や壁面に、床を支える柱(束柱)や梁(大引)を設置する位置を正確にマーキング(墨出し)します。マーキングした位置にドリルで穴を開け、鉄骨を固定するための「アンカーボルト」を設置します。強度を確保するため、接着系アンカー(ケミカルアンカー)が使用されるのが一般的です。壁面には梁を支持するためのブラケット(受け金具)も取り付けます。
3. 鉄骨架台の組立て ピット底面のアンカーボルトに、ベースプレート(基礎板)が付いた鉄骨柱(軽量H形鋼など)を固定します。ピットの底は排水のために勾配がついているため、モルタルを詰めるなどして柱の水平を正確に調整します。
次に、柱と柱、あるいは壁面のブラケット間に、梁となる鉄骨を渡し、高力ボルトなどで強固に緊結して骨組み(架台)を構築していきます。
4. 鋼製床板の敷設 組み上がった鉄骨架台の上に、鋼製の床板パネル(デッキプレート)を隙間なく敷き詰めていきます。床板もボルトで梁に固定されます。
5. 仕上げ作業 全ての接合部ボルトが規定トルクで締め付けられているかを確認します。その後、駐車枠のライン塗装、車止めの設置、そして排水ポンプ等のメンテナンスのためにピット内へ降りるための「点検口(ハッチ)」を設置して、工事完了となります。
鋼製平面化工法の「技術的な特長」とメーカー選び
一概に「鋼製平面化工法」といっても、実は使用される鋼材や構造はメーカーごとに異なり、いくつかの種類があります。それぞれのメーカーが独自の部材や構造を開発しており、強度や施工性、仕上がりの美観、コストなどに特徴があります。




鋼製平面化工法では、使用する部材や施工方法にメーカーごとの違いが見られます。適切なメーカーを選択するためには、以下のポイントに注目することが重要です。
| 選択ポイント | 特徴 | 選び方 |
|---|---|---|
| 接合方法 | 部材同士の接合にはボルト締結式と溶接式がある。 | ボルト式は補修が容易で維持管理に優れる。溶接式は施工時の熱でめっきが剥がれ耐食性に注意。 |
| めっき加工 | 鋼板には防錆のためのめっき加工が施される。 | 標準の溶融亜鉛めっきに加え、ZAM®やZEXEED®など高耐食性製品も。使用環境に応じて選定。 |
| 床材の幅 | メーカーごとに床材の幅に違いがある。 | 幅が狭いとたわみが抑えられることが多い。また、床材一本が軽く、一部交換がしやすいためメンテナンス性に優れる。 |
| 床材の向き | 床材の配置方向(車の進入方向に対して縦向きまたは横向き)がある。 | 一長一短があるため、施工前に業者へ相談することを推奨。 |
特長1:使用される高耐食性鋼板
床板や鉄骨には、サビ(腐食)を防ぐために「めっき処理」が施された鋼材が使われます。
- 溶融亜鉛めっき: 伝統的なめっき処理。
- 高耐食性めっき鋼板(ZAM®、ZEXEED®など):より防錆性能を高めた高付加価値製品。亜鉛にアルミニウムやマグネシウムを加えることで、めっき層が緻密になり、特に切断面や傷がついた部分の防錆能力(自己修復作用)が格段に向上しています。
当然、高耐食性めっき鋼板を使用する方が耐久性は上がりますが、コストも上昇します。設置環境(屋外か屋内か、沿岸部か内陸か)に応じて選定することが重要です。
特長2:接合方法「ボルト接合」と「溶接」
これは非常に重要な比較ポイントです。
鋼材を接合する方法には、現場で「ボルト締め」を行う方式と、「溶接」で固定する方式があります。
- 溶接方式:一見強固に見えますが、大きな欠点があります。溶接の際、高熱によって鋼材の「めっき層」が焼けて損傷してしまうのです。その部分から錆が発生するリスクが格段に高まり、防錆性能が著しく低下します。また、熱による変形で施工精度が乱れたり、将来的な分解・撤去が困難になったりするデメリットもあります。
- ボルト接合方式:めっき層を傷つけることなく部材を強固に固定できます。施工精度も保ちやすく、将来の再設置や部分的な補修・交換にも柔軟に対応できます。
長期的な耐久性やメンテナンス性を考慮した場合、原則として「ボルト接合方式」を採用しているメーカー・業者を選ぶことが望ましいと言えます。
特長3:床材の幅や向き
メーカーによって、使用する床板パネルの幅や、敷設する向き(車の進入方向)が異なります。
- 床材の幅: 幅が狭いパネル(デッキ材)は、1枚あたりの重量が軽いため、万が一たわみが発生した際にも部分的な交換がしやすく、メンテナンス性に優れるとされています。
- 床材の向き: 床材を敷設する向きにも意味があります。例えば、車の進行方向に対して90度(横向き)に敷設する場合、タイヤが通過する際の荷重が複数のパネルに分散されやすくなるという利点があります。
これらも見積もり比較時のチェックポイントとなります。
メーカー選択の重要ポイント
同じ「鋼製平面化工法」と呼ばれていても、メーカーごとの仕様の違いにより耐久性やメンテナンス性、将来的な対応コストが異なる可能性があります。
他の平面化工法との比較とコスト
鋼製平面化工法が最適解とは限りません。他の工法の特徴を理解し、管理組合の状況に最も合うものを選びましょう。
| 比較項目 | ① 鋼製平面化工法 | ② 埋め戻し工法 | ③ 平面化ロック工法 |
| 工法概要 | ピットに鉄骨の床を架ける | ピットを砕石や土で埋める | 既存装置を固定し動かなくする |
| 工期 | 短い(天候影響小) | 長い(転圧・養生期間) | 最も短い(数日~) |
| 初期コスト | 高い | 安い~中程度 | 最も安い |
| 将来の再設置 | 可能(分解できる) | 不可(原則不可) | ー |
| 建物・地盤への負荷 | 極めて軽い | 重い(沈下リスク) | 変化なし |
| 平面化後の管理 | ・排水ポンプの点検 ・鋼材の防錆 | ほぼ不要 | 地下ピット内の排水ポンプへのアプローチなど課題あり |
| 主なデメリット | ・初期コスト高 ・排水/防錆メンテ要 | ・再設置不可 ・地盤沈下リスク ・工期が長い | ・根本的な解決ではない |
「埋め戻し工法」が適しているケース
「将来にわたって、二度と機械式駐車場を再設置する可能性がない」「とにかく初期コストを抑えたい」「地盤が強固で、構造的な負荷も問題ない」と判断できる場合。
「平面化ロック工法」が適しているケース
「数年後には大規模修繕でどうせ撤去するが、それまでの応急処置として平置き化したい」「とにかく1円でも安く、一時的に平置きの数を増やしたい」という場合。
その他の工法(EPS工法・鉄骨デッキスラブ工法)
鋼製平面化工法や埋め戻しの他に、EPS工法やデッキスラブ工法などの平面化手法も存在します。
- EPS工法:大型の発泡スチロールブロックをピット内に積み重ね、最後にコンクリートで舗装します。
- 鉄骨デッキスラブ工法:鉄骨で柱と梁を組み、その上にデッキプレート材を敷き詰め、コンクリートで仕上げ舗装をします。
ただし、これらの工法は施工コストが高く、維持管理の面でも課題があるため、一般的にはあまり採用されていません。
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長期的なコスト計画と削減のヒント
機械式駐車場平面化にかかる全体の費用を判断する際には、「初期工事の費用」と「平面化後のメンテナンス費用」の両方を必ず確認する必要があります。
埋め戻し工法の場合:
基本的にメンテナンスは不要です。ただし、沈下などの問題が発生した場合は修繕費用が必要となります。
鋼製平面化工法の場合:
平面化工事の後でも、排水ポンプの点検、めっきが剥げた床板の補修、さらには床板の張り替え工事など、継続的なメンテナンスが必要です。その内容、価格、頻度をきちんと把握することが推奨されます。
コスト削減のヒント「分離発注」
コスト削減の有効な手段として「発注方法」の見直しがあります。
多くの管理組合は、窓口であるマンション管理会社や、保守点検を依頼している点検業者に工事を一括で発注します。しかし、その場合、管理会社や点検業者の「中間マージン(紹介料)」が上乗せされていることがほとんどです。
管理組合が施工実績が豊富な専門工事業者を自ら探し、「解体・撤去」と「平面化工事」を直接発注(分離発注)することで、この中間マージンをカットし、数百万円単位でコストを削減できる可能性があります。
撤去の前に必ず確認すべき法的要件
工事の工法や費用ばかりに目が行きがちですが、平面化において最も重要なのが「法的な制約」、特に「駐車場附置義務(ふちぎむ)」の存在です。
駐車場附置義務とは?
これは、地方自治体が条例(駐車場条例)によって定めるルールで、「一定規模以上の建物(マンションなど)は、その延床面積に応じて、必ず〇〇台以上の駐車スペースを敷地内に確保しなければならない」という義務です。
なぜ問題になるのか?
機械式駐車場を撤去・平面化すると、多くの場合、駐車可能な総台数は減少します。(例:3段式21パレット=21台 → 平面化 → 7台)
この平面化後の台数が、条例で定められた「最低限確保すべき台数(附置義務台数)」を下回ってしまう場合、原則として撤去工事は認められません。
【朗報】緩和措置の広がり
この附置義務が、長年にわたり機械式駐車場の撤去を阻む最大の壁となっていました。
しかし、近年の「車離れ」や「駐車場の空き問題」の深刻化を受け、全国の多くの自治体で、この附置義務を緩和する動きが広がっています。
例えば、福岡市、大阪市、東京都内の一部の区などでは、 「設置から一定年数が経過している」 「マンション総会での合意形成がなされている」 「駐車場の利用率が著しく低い」 といった一定の条件を満たせば、届出や申請によって附置義務台数を下回る(=駐車場を減らす)ことを特例として認めるケースが増えています。
ただし、この緩和基準は自治体によって全く異なります。
鋼製平面化工法、埋め戻し工法、いずれを選択するにせよ、計画の初期段階で必ず所管の自治体の建築指導課やまちづくり課などの窓口に相談し、「自分たちのマンションで平面化(台数削減)は法的に可能なのか」を確認することが必須です。
まとめ
機械式駐車場の平面化において、「鋼製平面化工法(鋼製床工法)」は、他の工法にはない明確な特徴を持つ有力な選択肢です。
最大の特徴は、地下ピットを埋め戻さず、鉄骨の架台と鋼製床で「蓋をする」点にあります。これにより、以下のメリットが生まれます。
- 建物・地盤への負荷が軽い: 埋め戻し工法のような大規模な重量物を投入しないため、構造体への影響や地盤沈下のリスクを最小限にできます。
- 工期が短い: 天候に左右されにくく、コンクリート養生のような待ち時間も不要なため、施工が迅速です。
- 将来の「再設置」が可能(可逆性): 万が一、将来再び駐車場ニーズが高まった場合、鋼製床を撤去して機械式駐車場を再建できるという、将来への選択肢(可逆性)を残せます。
一方で、デメリットも明確です。
- 初期コストが比較的高額: 埋め戻し工法に比べ、材料費や専門技術料により初期費用は高くなる傾向があります。
- 維持管理コストが残る: ピット空間が残るため、排水ポンプの点検・交換が継続的に必要です。また、鋼材の防錆メンテナンス(定期的な塗装補修など)も長期的な計画に含める必要があります。
機械式駐車場の平面化において、最も重要なのはご自身のマンションの将来像に合わせた工法を選択することです。
鋼製平面化工法は、「将来的に機械式駐車場を再設置する可能性がある」「建物への負荷を絶対に避けたい」「できるだけ工期を短くしたい」という場合に最適な工法です。
逆に、「再設置の可能性はゼロ」「初期コストを徹底的に抑えたい」「将来のメンテナンス(排水ポンプ・防錆)の手間をなくしたい」という場合は、埋め戻し工法の方が適していると言えます。
ご自身のマンションの将来像やコスト計画に合わせ、最適な工法を選択することが成功の鍵となります。














