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鋼製平面化工法とは|機械式駐車場を撤去した後の平面化で最も多く採用されている工法

鋼製平面化工法とは?

鋼製平面化工法は、機械式駐車場を撤去した後に残る地下ピットを埋めずに、鉄骨の架台と鋼製の床板を設置して平面駐車場にする工法です。近年の平面化工事で最も多く採用されており、大和ライフネクストの調査(2021年)では、平面化を実施した298件のうち130件がこの工法を選んでいます。

この記事では、鋼製平面化工法の仕組み、施工手順、メリット・デメリット、使用素材の違い、業者選定のポイントを解説します。

平面化の全体像や他工法との比較については「機械式駐車場の解体と平面化の基本知識」で、埋め戻し工法との詳細な比較については「鋼製平面化工法と埋め戻し工法の比較」で解説しています。

鋼製平面化工法の仕組み

鋼製平面化工法の仕組み

鋼製平面化工法では、機械式駐車場の装置を解体・撤去した後、地下ピット(コンクリート製の空間)をそのまま残します。ピットの底面や壁面にアンカーボルトを打ち込み、鉄骨の柱と梁で架台(フレーム)を組み、その上に鋼製の床板(デッキプレート)を敷き詰めて平面駐車場を完成させます。

地下ピットは空洞のまま残るため、排水ポンプや点検口を設置し、ピット内のメンテナンスができる状態を維持します。

メリット

屋外・屋内を問わず施工できる

埋め戻し工法は屋外ピットにのみ適用可能ですが、鋼製平面化工法は屋外・屋内を問わず施工できます。屋内の機械式駐車場や、地盤条件に不安がある現場でも対応可能です。

工期が短い

工場で加工された部材を現場で組み立てる作業が中心のため、砕石の搬入・転圧や養生期間が必要な埋め戻し工法と比較して、工期を短縮できます。工期が短いことで、代替駐車場の利用期間も短くなり、関連費用を抑えられます。

建物や地盤への荷重負担が小さい

鋼製の部材は砕石と比較して大幅に軽量です。ピットの構造体や建物の基礎、地盤への追加荷重を最小限に抑えられるため、構造的な安全性が高い工法です。

将来的に撤去して元に戻すことが可能

地下ピットを埋めないため、将来的に鋼製床を撤去して機械式駐車場を再設置することが可能です(可逆性)。将来の用途変更の選択肢を残しておきたい場合に適しています。

低騒音・低振動で施工できる

砕石の搬入や転圧のような騒音・振動を伴う作業が少ないため、住民や近隣への影響を最小限に抑えた施工が可能です。

デメリット

鉄部の防錆メンテナンスが必要

鋼製の床板や鉄骨は、使用する素材によって耐久性が異なりますが、永久に錆びないわけではありません。長期間使用するためには、素材の種類に応じた時期に防錆塗装の再施工が必要です。

排水ポンプの維持管理が必要

地下ピットがそのまま残るため、雨水や地下水の排水を行う排水ポンプを引き続き維持する必要があります。ポンプの故障を放置するとピット内が水浸しになり、鉄骨の腐食や悪臭の原因になります。保守点検報告書で排水ポンプに関する指摘がないか、定期的に確認してください。

荷重制限がある

鋼製床板には設計上の耐荷重制限があります。標準仕様で2.5t、強化仕様で3t程度が一般的です。近年の大型SUVやEV(電気自動車)の中には車両総重量がこの制限に近い車種があるため、管理規約で駐車できる車両の重量制限を定めておく必要があります。

埋め戻し工法より初期費用が高い

鋼製の専用部材を使用し、精度の高い施工が求められるため、埋め戻し工法と比較すると初期費用は高くなります。費用の目安は1列あたり130〜180万円程度です。ただし、工期の短縮による代替駐車場費用の削減や、長期的な維持管理コストを含めたトータルで比較すると、差は縮まります。解体・平面化の費用の全体像については「立体駐車場の解体費用はいくら」で解説しています。

地下ピット内の空間利用は原則不可

ピット空間が残るため「倉庫や駐輪場に使えないか」と考える方もいますが、建築基準法や消防法上の制約があり、原則として利用できません。詳しくは「機械式駐車場を撤去した後の地下ピットは活用できるか」で解説しています。

金属特有の走行音がある

鋼製デッキの上を車両が走行する際に、タイヤと金属面の接触による走行音や反響音が発生することがあります。特にピロティ部分や住戸に近い位置にある駐車場では、生活への影響を考慮する必要があります。音鳴りの程度は床板の構造や固定方法によって大きく異なるため、設計段階で音鳴りの少ない構造の製品を選ぶことが重要です。

施工手順

鋼製平面化工法の施工は、「装置の解体・撤去」と「鋼製平面化」の2つの工程に分かれます。

装置の解体・撤去

機械式駐車場の装置(パレット、鉄骨、モーター、制御盤など)をボルトの取り外しやガス切断で分解し、クレーンで吊り上げてトラックに積み込み、搬出・処分します。建物内や狭小地では大型クレーンが使えないため、カニクレーン(小型クレーン)を使用して部材を細かく切断・搬出します。

解体後、ピット内を高圧洗浄で清掃します。

鋼製平面化の施工

  1. ピットの底面と壁面に、柱や梁を固定するためのアンカーボルトを設置する
  2. 鉄骨の柱をアンカーボルトに固定し、水平を調整する
  3. 柱と柱の間に梁を渡し、ボルトで接合して架台を組み上げる
  4. 架台の上に鋼製の床板(デッキプレート)を敷き詰め、ボルトで固定する
  5. 駐車区画のライン塗装、車止めの設置、点検口の設置を行い、完成

使用素材の違いが耐久性を左右する

鋼製平面化工法では、床板や鉄骨に使用する鋼材の素材によって、耐久性とメンテナンス周期が大きく異なります。業者によって使用する素材が異なるため、見積もりの段階で必ず確認してください。

素材耐食性(対GI)特徴
GI(溶融亜鉛めっき)基準(1倍)標準的なめっき。安価だが耐久性は限定的
ZAM約5倍亜鉛・アルミニウム・マグネシウムの合金めっき。高い耐食性とコストのバランスに優れる
ZEXEED約10倍ZAMの上位素材。より高い耐食性を持つ。長期的なメンテナンスコストを抑えたい場合に適している

素材の詳しい比較については「機械式駐車場平面化工事の素材選び」で、冊子『間違いだらけの鋼製平面化工法』でも詳しく解説しています。

業者選定のポイント

鋼製平面化工法は、業者によって使用する素材、接合方法(ボルト接合か溶接か)、設計品質に差があります。以下のポイントを確認して業者を選定してください。

使用素材を確認する

床板と鉄骨にどの素材(GI・ZAM・ZEXEEDなど)を使用するかを見積もりの段階で確認してください。素材の違いは耐久性とメンテナンスコストに直結します。

施工実績を確認する

鋼製平面化工法の施工実績(件数、規模、設置環境)を確認してください。実績が豊富な業者ほど、現場の状況に応じた適切な対応が期待できます。

接合方法を確認する

部材の接合方法は「ボルト接合」と「溶接」の2種類があります。ボルト接合は現場での施工がしやすく、将来的な撤去も容易です。溶接は接合強度が高い一方で、現場での火気使用が必要になります。

保証内容を確認する

施工後の保証内容(保証期間、保証範囲)を確認してください。

業者選定の詳細については「鋼製平面化工法を採用する場合の工事業者選び」で解説しています。

よくある質問

Q. 鋼製平面化工法と埋め戻し工法はどちらがよいですか

駐車場の設置環境によって判断してください。屋内ピットの場合は鋼製平面化工法が適しています。屋外ピットの場合はどちらも選択可能ですが、将来的に機械式駐車場を再設置する可能性がある場合は鋼製平面化工法、費用を最小限に抑えたい場合は埋め戻し工法が候補になります。

Q. 鋼製平面化の床の上を車で走っても問題ありませんか

はい、問題ありません。設計上の耐荷重(標準2.5t)の範囲内であれば、通常の乗用車は安全に駐車・走行できます。ただし、耐荷重を超える車両の駐車は避けてください。

Q. 鋼製平面化後、何年くらいで鉄部の再塗装が必要になりますか

使用する素材と設置環境によって異なります。ZAM素材であれば15〜20年程度、ZEXEED素材であればさらに長期間、再塗装なしで使用できると見込まれます。GI(溶融亜鉛めっき)の場合は、環境によっては10年程度で再塗装が必要になることがあります。

Q. 排水ポンプの維持費はどのくらいかかりますか

排水ポンプの点検は、保守点検契約に含まれている場合と、別途契約が必要な場合があります。ポンプ本体の交換が必要になった場合は数万〜十数万円程度の費用が発生します。平面化後も排水ポンプの維持管理は必要であることを予算計画に織り込んでおいてください。

まとめ

鋼製平面化工法は、機械式駐車場の平面化工法の中で最も多く採用されている工法です。屋外・屋内を問わず施工でき、工期が短く、将来的に撤去して元に戻すことも可能です。

一方で、鉄部の防錆メンテナンスと排水ポンプの維持管理が必要であり、完全にメンテナンスフリーになるわけではありません。また、業者によって使用する素材や接合方法に差があるため、見積もりの段階で素材と施工実績を確認することが重要です。

なお、機械式駐車場の解体・平面化は共用部分の変更に該当するため、総会での決議が必要です。決議の進め方については「機械式駐車場の解体・平面化に必要な総会決議」で解説しています。

鋼製平面化工法の素材選びや業者選定で迷った場合は、冊子『間違いだらけの鋼製平面化工法』をご参照ください。業者間の品質差の実態と、管理組合が確認すべきポイントを詳しく解説しています。

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