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立体駐車場の解体費用はいくら?撤去・平面化の相場と工法別の違い

立体駐車場の解体費用はいくら?撤去・平面化の相場と工法別の違い

マンションの立体駐車場(機械式駐車場)の解体を検討している管理組合の方から、「解体費用はいくらかかるのか」「相場がわからない」というご相談をよくいただきます。

結論から言えば、立体駐車場の解体・平面化費用は、(マンションで多い単純昇降式・昇降横行式などを前提に)1車室あたり100〜200万円が目安です。10台分(平面化後の台数)の駐車場であれば1,000〜2,000万円程度となります。

ただし、この金額はあくまで概算であり、駐車場の構造(方式)や設置場所、選択する工法によって大きく変動します。特にタワー式などは、費用が「1台あたり」で整理しづらく、装置(1基)単位で高額化するケースもあります。

この記事では、立体駐車場の解体費用の相場と、費用を左右する要因、見積もりを取る際の注意点について詳しく解説します。

「立体駐車場」と「機械式駐車場」は同じもの?

まず用語を整理しておきましょう。

一般的に「立体駐車場」と呼ばれるものには、大きく分けて2種類あります。

種類特徴解体の対象
機械式立体駐車場機械でパレットを動かして車を格納するタイプ◯ 本記事の対象
自走式立体駐車場スロープを自分で運転して上階に駐車するタイプ× 建物の解体となるため別扱い

本記事で解説するのは「機械式立体駐車場」の解体費用です。マンションに設置されている立体駐車場の多くはこのタイプに該当します。

機械式立体駐車場には、さらに以下のような種類があります。

  • 地上式(ピットなし)
    地面の上に直接設置されているタイプ
  • 地下ピット式
    地下に車を格納する空間があるタイプ(昇降式、昇降横行式など)
  • タワー式
    建物内に垂直に車を格納するタイプ

タワー式などは、費用が「1台あたり」ではなく「装置(1基)単位」で見積もられることが一般的です。したがって、単純に台数で割って比較しにくい点に注意してください。

これらの構造の違いが、解体費用に大きく影響します。


立体駐車場の解体費用の相場

立体駐車場の解体・平面化にかかる費用の目安は以下のとおりです。

規模費用目安
1台(平面化後1車室)あたり100〜200万円(※主に昇降式・昇降横行式などを想定)
10台分1,000〜2,000万円
20台分2,000〜4,000万円

なぜこれほど幅があるのでしょうか。それは、費用を左右する要因が複数あるためです。


解体費用を左右する3つの要因

要因①:駐車場の構造(タイプ)

駐車場の構造によって、解体の難易度と費用は大きく異なります。

構造費用傾向理由
地上式(ピットなし)比較的安価機械を撤去するだけで済む
地下ピット式中程度撤去後に地下空間の処理が必要
タワー式・地下循環式高額構造が複雑で専門技術が必要

地上式の場合、機械を解体・撤去した後にアスファルト舗装などで整地すれば完了します。

一方、地下ピット式の場合は、機械撤去後に残る地下空間をどう処理するかによって、追加の工事費用が発生します。

タワー式は最も費用がかかるケースが多く、建物と一体化している場合は解体自体が困難なこともあります。

要因②:設置場所と工事難易度

同じ構造の駐車場でも、設置場所によって工事の難易度が変わります。

設置場所費用傾向理由
屋外最も安価クレーンなど重機が使いやすい
軒下(屋根あり)やや割増高さ制限があり作業に制約
屋内・地下最も高額重機が入れず手作業が増える

屋外に設置された駐車場であれば、ラフタークレーンで効率的に解体できます。しかし、建物の地下や屋内に設置されている場合は、小型重機を使用したり、部材を手作業で搬出する必要があり、工期も費用も増加します。

要因③:平面化の工法

地下ピット式の駐車場を解体した後、地下空間をどのように処理するかによって費用が変わります。主な工法は3つあります。

工法費用傾向特徴
埋め戻し工法比較的安価砕石などで地下を埋めて舗装する
鋼製平面化工法やや高め鋼製の床を設置する(将来の再設置も可能)
平面化ロック工法低コストになりやすい既存設備を固定して平面として使う

埋め戻し工法は、地下ピットに砕石や土砂を投入し、アスファルトやコンクリートで舗装する方法です。工事完了後はメンテナンスがほぼ不要になりますが、将来的に機械式駐車場を再設置することはできません。

鋼製平面化工法は、地下ピットに柱や梁を設置し、平面部に鋼製の床を構築する方法です。初期費用は高めですが、将来的に機械式駐車場を再設置する可能性を残せます。

平面化ロック工法は、既存の機械を固定して動かなくする方法です。費用と工期を最小限に抑えられますが、あくまで中期的な対応策と考えるべきです。

それぞれの工法の詳細は、以下の記事で解説しています。


解体費用の内訳

立体駐車場の解体・平面化費用は、大きく以下の項目で構成されています。

項目内容
解体・撤去費用機械設備の解体、クレーン作業、人件費など
産業廃棄物処理費用撤去した鉄くずやコンクリートの処分費
平面化工事費用埋め戻し材、鋼製床、舗装など工法による
諸経費現場管理費、安全対策費、書類作成費など

見積書を受け取った際は、これらの内訳が明記されているか確認しましょう。「一式」でまとめられている場合は、詳細な内訳を求めることをおすすめします。

また、比較の際に差が出やすい項目として、次のような費用が含まれているかも確認すると、見積比較の精度が上がります。

  • 誘導員の配置の有無(道路条件による)
  • 夜間・休日作業の有無(近隣条件・管理規約による)
  • 地下・屋内作業の手間(手搬出の増加など)

見積もりを取る際の注意点

立体駐車場の解体費用を正確に把握するには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。その際、以下の点に注意してください。

注意点①:管理会社経由だと中間マージンが発生する

マンションの管理会社に解体工事を依頼すると、管理会社の紹介料(中間マージン)が上乗せされるケースがほとんどです。

管理組合が直接、専門業者に見積もりを依頼することで、数百万円単位でコストを抑えられる可能性があります。

注意点②:複数業者からの相見積もりが必須

解体費用は業者によって大きく異なります。最低でも3社以上から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

その際、条件を揃えて比較することが重要です。工法や仕上げの仕様が異なると、単純な金額比較ができません。

注意点③:現地調査なしの概算は参考程度に

電話やメールだけで提示される概算見積もりは、あくまで参考程度と考えてください。

実際の費用は、現地調査で駐車場の構造、劣化状況、搬入経路などを確認した上でないと正確に算出できません。本格的に検討する際は、必ず現地調査を依頼しましょう。

解体・撤去は「総会での特別決議」が必要になる

立体駐車場(機械式駐車場)の解体・撤去は、管理組合にとって大きな意思決定です。実務上、総会での特別決議が必要になるため、早い段階で以下を確認しておくとスムーズです。

  • 管理規約・使用細則(共用部分/附属施設の扱い)
  • 過去の総会議案(同種の設備更新・撤去の扱い)
  • 決議要件(普通決議/特別決議の可能性)

※個別マンションの状況によって扱いが異なるため、必要に応じて管理会社や専門家への確認も行いましょう。

よくある質問

Q. 解体だけで平面化しない場合の費用は?

機械を撤去するだけで、跡地を駐車場として使わない場合は、平面化工事の費用が不要になります。ただし、地下ピットがある場合は安全上の問題から、何らかの処理(蓋をする、埋めるなど)が必要です。

Q. 補助金や助成金はある?

機械式駐車場の解体に特化した補助金制度は多くありません。ただし、自治体によってはマンション改修に関する補助制度がある場合もあります。

また、タワー式の場合には、工事に伴うアスベスト調査・対策が論点になることがあるため、制度の有無も含めて自治体に確認することをおすすめします。

Q. 解体工事の期間は?

工期は、規模だけでなく工法によっても変わります。あくまで目安ですが、次のように考えるとイメージしやすいです。

  • 鋼製平面化工法:10台程度で 2〜4週間 程度
  • 埋め戻し工法:同規模で 1〜2か月 程度になることも
  • 平面化ロック工法:条件が合えば 1週間前後 で完了するケースも

タワー式など大規模な場合は、数ヶ月かかることもあります。

Q. 附置義務との関係は?

マンション建設時に「駐車場附置義務」が課されている場合、解体によって駐車台数が基準を下回ると問題になる可能性があります。近年は緩和される自治体も増えていますが、事前に確認が必要です。

確認の際は、自治体の担当窓口(都市計画/建築指導など)に、当該マンションが附置義務の対象か、撤去時に必要な手続があるかを問い合わせると確実です。

詳しくは → 駐車場附置義務の緩和はどこまで進んだ?

まとめ

立体駐車場(機械式駐車場)の解体・平面化費用は、(単純昇降式・昇降横行式などを中心に)1車室あたり100〜200万円が相場の目安です。

費用を左右する主な要因は以下の3つです。

  1. 駐車場の構造:地上式 < 地下ピット式 < タワー式
  2. 設置場所:屋外 < 軒下 < 屋内・地下
  3. 平面化の工法:ロック工法 < 埋め戻し < 鋼製平面化

正確な費用を把握するには、複数の業者から現地調査に基づいた見積もりを取ることが重要です。管理会社経由ではなく、管理組合が主体的に専門業者に依頼することで、コストを抑えられる可能性があります。

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記事の編集者


編集部

マンション管理の適正化を目指す一般社団法人。「機械式駐車場の相談窓口」を運営し、中立的な立場から管理組合をサポートしています。
記事は、専門的な知見に基づく事実確認を徹底し、正確かつ公正な情報を発信できるよう編集部全体で制作しています。

記事の編集者


山田 俊介

機械式駐車場の構造や仕様を知り尽くした技術スペシャリスト。 専門性が高く不透明になりがちなメンテナンス費用や修繕見積もりを、プロの目で厳しくチェックします。「本当に必要な工事か」「価格は適正か」を機械的な根拠に基づいて判断し、管理組合様の利益を守ります。

記事の編集者


Hidekazu Ishikawa
佐藤 由香里

機械式駐車場の解体・平面化を専門とする企業での役員経験を持つ。 専門的な施工知識をベースにしつつ、理事会や住民の皆様が抱く「不安」を「安心」に変える丁寧な対話を大切にしています。女性ならではの柔らかい物腰と生活者の視点で、工事完了まで親身に伴走します。

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Hidekazu Ishikawa
永井 和也

マンション管理士

機械式駐車場の解体・平面化専門企業の元執行役員。
「工事の技術的判断(ハード)」と「管理組合の合意形成・規約改正(ソフト)」の両面に精通したスペシャリストです。複雑な利害関係を整理し、理事会が迷わずに進めるための「全体最適」な解決策を提示します。



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