
マンションの機械式駐車場を平面化する際、「ターンテーブルはそのまま残す?それとも一緒に撤去?」と悩む管理組合は少なくありません。
ターンテーブルは便利な設備ですが、老朽化や使い勝手の変化によって、撤去の検討が必要になるケースもあります。
この記事では、ターンテーブルの役割や平面化との関係、撤去・残存の判断ポイントについて学んでいきます。
ターンテーブルってどんな設備?
ターンテーブル(回転台)は、車をスムーズに出し入れするために設置される設備で、以下のような場面で活躍しています。
| 設置の目的 | 主な利用シーン |
|---|---|
| 車の向きを変える | 敷地内での切り返しスペースがない場合 |
| 出庫を簡単にする | 前向き出庫が必要な細い通路・接道条件が悪い立地 |
| 駐車操作の安全性を高める | 高齢者ドライバーや運転に不慣れな方の負担を軽減 |
機械式駐車場とセットで導入されることも多いですが、構造上は独立した設備として扱われているため、平面化工事の際は別途検討が必要です。
平面化とターンテーブルの関係は?
「機械式駐車場の撤去=ターンテーブルの撤去」ではありません。
ターンテーブルが現役で稼働している場合、そのまま活用できるケースもあります。
しかし、使用予定や将来的な維持リスクを考えると、以下のような判断基準が参考になります。
| ターンテーブルの状態 | 処理方針 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 故障していない・今後も使用予定あり | 残す | 点検体制や部品の供給可否を業者と確認 |
| 故障中・老朽化が著しい | 撤去 | ターンテーブルの解体+埋め戻し費用が別途発生 |
| 平面化後に車の動線が変わる | 再検討 | ターンテーブルが不要になる可能性もあるため、動線を確認 |

ターンテーブルを残す場合、将来的な部品調達の難しさや修理費も加味して判断するのがポイントです。
ターンテーブル撤去は「埋め戻し工法」が一般的
ターンテーブルの下には、装置が収まるための浅いピット(くぼみ)があるため、撤去後にはその部分を埋めて安全な平面にする必要があります。
撤去方法は多くの場合「埋め戻し工法」で対応します。これは、土や砕石使ってピットを埋め、コンクリートやアスファルト舗装で平面化するものです。
※鋼製床材を敷く「鋼製平面化工法」はターンテーブルには通常用いられません。
ターンテーブルの平面化手順







工事の見積書の内訳をチェックしよう
ターンテーブルを撤去する際、費用の内訳は以下のような項目となります。
| 工事項目 | 内容例 |
|---|---|
| 撤去費用 | ターンテーブル本体の解体作業費用 |
| 埋め戻し費用 | ピットの埋め戻し(砕石・砂など)の費用 |
| 仕上げ舗装費用 | アスファルト舗装やコンクリート仕上げなど |
舗装方法によって費用だけでなく、見た目の仕上がりや耐久性も変わります。
ターンテーブルを残す場合のリスクの確認
ターンテーブルを残す場合、以下のような点をあらかじめ確認しておく必要があります。
- 点検・メンテナンス業者が対応可能か
- 部品の入手が可能か(メーカーの継続性)
- 保守契約の有無・内容
もし将来的に故障した際に修理不能となれば、再度撤去工事が必要になる可能性もあります。
このようなリスクを避けたいと考え、できる限り撤去を希望する管理組合が多いようです。
利用者の声を聞くことが判断のカギ
ターンテーブルの扱いを決めるうえで見逃せないのが、実際に使っている居住者の意見です。
- 「狭い通路で切り返しが難しいので、ターンテーブルがないと不安」
- 「実は使っている人が少ないので、撤去しても困らない」
- 「高齢の家族が運転しているので、前向き出庫ができるターンテーブルはありがたい」
ターンテーブルを撤去した後に「やっぱり必要だった」と後悔することがないよう、利用者の声を聞くことが大切です。
まとめ
ターンテーブルは、駐車を助けてくれる便利な設備ですが、機械式駐車装置とは別物として扱われるため、平面化工事の際には個別に検討が必要です。
撤去する場合は「埋め戻し工法」で対応するのが一般的で、故障状況・使用予定・動線の変化・保守体制などをふまえて、管理組合として総合的に判断することが求められます。
加えて、実際の利用者の声を集めることも、判断の大きな材料になります。アンケートや説明会などで、現場の声を丁寧に拾いながら合意形成を進めることで、後悔のない選択ができるでしょう。
事前に工事業者と打合せを行い、見積書の内容をよく確認しておくことで、将来のトラブルや予期せぬ追加費用を回避できます。
平面化は単なる工事ではなく、駐車場をより使いやすく、安全に、長く維持していくための第一歩なのです。













