
機械式駐車場は、その構造上どうしても故障や不具合が起きやすく、安全に長く使っていくためには「定期点検」が欠かせません。マンションの理事や管理組合にとっては、住民の安全を守りながら、コストとのバランスをとる賢い管理が求められます。この記事では、機械式駐車場の定期点検の基本や、点検契約の種類、業者選びのポイントについて学んでいきます。
法定点検の義務はない?でも定期点検は必須
意外に感じる方も多いかもしれませんが、機械式駐車場にはエレベーターのような法定点検の義務はありません。とはいえ、建築基準法第8条では「所有者は建築物を常に適法な状態に保たなければならない」と定められており、点検は実質的に義務に近い重要業務となっています。
一般的には年6回程度の定期点検が目安とされ、設置環境(屋内/屋外)や経年劣化の度合いにより調整されます。特に屋外型や築年数が古い機種は、点検頻度の見直しが必要です。
点検業者の種類と特徴を比較
点検業者には「メーカー系」と「独立系」があり、それぞれに特徴があります。
業者の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
メーカー系 | 自社製品への理解が深く、特殊機種への対応力が高い | 費用が高くなりがち |
独立系 | 柔軟な対応とコストパフォーマンスの良さが魅力 | 技術力にバラつきがある場合も |
業者選びでは、複数社から見積もりを取り、実績を確認することが重要です。安さだけでなく、安全面・対応力・長期的な信頼性も考慮しましょう。
点検契約の方式とその違い
点検契約には主に2つの方式があります。以下の表で違いを比較してみましょう。
契約方式 | メリット | デメリット |
---|---|---|
フルメンテナンス契約 | 定額制で突発修理も含まれ、予算管理がしやすい | 年間コストが高く、対応業者が限られる |
POG契約(Parts, Oil, Grease) | 必要最低限に絞った内容で、費用を抑えやすい | 突発的な修理には追加費用が発生 |
現在の主流はPOG契約で、多くのマンションではこの形が採用されています。フルメンテナンス契約は理論上は安心ですが、費用や対応可能な業者の制約から現実的にはあまり選ばれていません。
まとめ
機械式駐車場は、法律で定められた点検義務こそないものの、安全に使用し続けるためには定期点検が欠かせません。業者にはメーカー系と独立系があり、それぞれに異なる強みがあります。契約方式も、現在は費用を抑えやすいPOG契約が主流で、フルメンテナンス契約は実際にはあまり利用されていません。理事や管理組合としては、点検頻度の見直しや信頼できる業者の選定、契約内容の確認を通じて、住民の安心と設備の長寿命化を図ることが求められます。定期点検はトラブルを防ぐ最前線。管理体制の一環として、その重要性をしっかりと認識しておきましょう。