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駐車場使用料の「適正価格」とは? 値上げ・値下げの判断基準と成功の秘訣

駐車場使用料の「適正価格」とは? 値上げ・値下げの判断基準と成功の秘訣

「近隣の駐車場より高いから安くしてほしい」という利用者の声と、「将来の修繕積立金が足りないから値上げすべき」という理事会の悩み。

駐車場使用料の設定は、マンション管理において最も利害が調整しにくいテーマの一つです。 安易な値下げは将来の資金不足を招き、根拠のない値上げは住民の不満を招きます。

管理組合が知っておくべき「適正価格」の算出方法と、改定のタイミングについて解説します。

料金を決める「2つのモノサシ」

適正価格を割り出すには、外の視点と内の視点の両方が必要です。

駐車料金の適切な価格設定のバランス

1. 近隣相場(外の視点=上限)

マンション周辺の月極駐車場の料金です。これより高すぎると、住民はマンションを出て外の駐車場を借りてしまい、空き区画が増える原因になります。 基本的には「近隣相場と同等か、少し安い(居住者メリット)」くらいが上限の目安です。

2. 維持更新コスト(内の視点=下限)

ここが最も重要です。毎月の点検費だけでなく、将来(約20〜30年後)に訪れる「装置の全交換費用」を賄える金額かどうかです。

例えば、1台あたりの維持更新コストが月額1万5,000円かかるのに、使用料を月額1万円に設定していれば、車に乗らない住民の修繕積立金を使って補填している(持ち出し)ことになります。 これは「受益者負担の原則」の観点からも課題があるため、最低でもコスト回収できる金額が下限となります。

「値下げ」を検討すべきケースと注意点

空き区画が多く、収入が減っている場合は値下げも選択肢に入りますが、慎重な判断が必要です。

検討すべきタイミング

  • 近隣相場が下落し、明らかにマンション内の方が割高になっている場合。
  • 「値段が高い」という理由だけで、住民が外部駐車場に流出している場合。

【注意】値下げの落とし穴

「安くすれば埋まる」とは限りません。 機械式駐車場が敬遠される最大の理由は「サイズ制限(入らない)」と「出し入れの手間(面倒)」であることも多いからです。

これらが原因の場合、いくら値下げしても空きは埋まらず、単に既存契約者の料金が下がって管理組合の総収入が減少するだけの結果になるリスクがあります。 値下げをする前に、必ずアンケートで「空きの原因」を調査してください。

「値上げ」を決断すべきタイミング

誰もが負担増は避けたいものですが、マンションの資産価値を守るためには見直しが必要な時があります。

検討すべきタイミング

  • 長期修繕計画を見直した結果、将来の機械式駐車場更新費用が大幅に不足していることが判明した時。
  • 近隣相場より著しく安いため、規約で禁止されているにもかかわらず「又貸し(転貸)」をして不当に利益を得ようとする不正利用のリスクが高まっている時。

進め方のコツ

いきなり「来月から値上げ」は合意が得られにくいものです。 「このままだと将来一時金として○○万円の負担が発生します。それを防ぐために、月々○○円の値上げをお願いします」と、将来の負担減とセットで提案することが合意形成の鍵です。

「一律」ではなく「格差」をつける

駐車場稼働率を上げるための最も効果的なテクニックは、区画ごとの「傾斜配分(価格差)」です。

ダイナミックプライシングの発想

  • 地上段・平面駐車場(人気)
    値上げを検討 出し入れが楽で、ハイルーフも入る特等席。近隣相場と同等か、それ以上の価値があります。ここは強気の価格設定で収益を確保します。
  • 地下・最上段(不人気)
    値下げを検討 出し入れに時間がかかり、サイズ制限もある区画。ここは利用しやすい価格に設定します。

「1階は2万円、地下は1万円」というように明確な価格差をつけることで、「高いけど便利さを取る人」と「不便でも安さを取る人」の需要がマッチし、全体の稼働率と満足度が向上します。

既存契約者への対応(入れ替え制度)

人気区画を値上げする場合、既得権益(今の契約者)から反発が予想されます。 これを納得してもらうには、「数年ごとの総入れ替え(抽選)」をセットにするのが理想的です。

既存契約者の権利に関わるため導入ハードルは高いですが、「高い料金を払えば使い続けられる」ではなく、「公平にチャンスを回す」という姿勢を見せることで、不公平感を和らげることにつながります。

【補足】激変緩和措置

倍額などの大幅な値上げになる場合は、「3年かけて段階的に上げる」などの激変緩和措置を設けることで、総会での承認が得やすくなります。

まとめ

駐車場使用料の改定は、マンションの資金状況を改善するための大切な取り組みです。 最後に、検討を進める上でのポイントを整理します。

  1. 「感覚」ではなく「数字」を根拠にする
    「高い・安い」という主観ではなく、「近隣相場」と「維持・更新コスト」という客観的な数字を基準にしましょう。特にコスト割れは将来の負担増に直結するため注意が必要です。
  2. 「使いやすさ」で価格差をつける
    一律料金にこだわらず、「便利な場所は高く、不便な場所は安く」設定することで、利用者の納得感が高まり、空き区画対策にもなります。
  3. 合意形成は丁寧なプロセスで
    急な変更は避け、アンケートでの現状把握や、激変緩和措置(段階的な改定)など、住民の理解を得ながら進めることが大切です。

現状維持にとらわれず、将来の安心のために、できることから見直しを検討してみてください。


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