
「自分は車を持っていないのに、機械式駐車場の電気代を負担させられるのは不公平じゃない?」
マンションの管理組合の総会などで、こんな議論を耳にしたことはありませんか?
機械式駐車場は動かすたびに電気を使いますが、その費用負担の仕組みを正しく理解していないと、住民同士の感情的な対立を生んでしまうこともあります。
今回は、そんな機械式駐車場の電気代と、お金の仕組みについてやさしく解説していきます。
機械を動かす電気代は「共用部」として管理費から出ている
結論からお話しすると、機械式駐車場の電気代は、多くのマンションで「管理費会計」から支払われています。
これは、エレベーターやエントランスの照明と同じように、機械式駐車場もマンションみんなの「共用設備」の一つとして扱われているからです。
電力会社からの請求もマンション全体の「共用部の電気代」としてまとめて来るため、「Aさんが車を出したから10円」といった細かい計算をするのは難しく、あまり現実的ではないのです。
実は利用者が払う「使用料」で賄われています
では、車を持っていない人が一方的に損をしているのかというと、実はそうではありません。利用者のみなさんは、毎月「駐車場使用料」を支払っていますよね。
駐車場使用料の扱いはマンションによって異なりますが、日々の「管理費会計」か、将来のための「修繕積立金会計」のどちらかに入ります。どちらの財布に入るにせよ、マンション全体の収支としては、利用者が払う使用料が大きな収入源となっています。(多くのマンションでは、この駐車場使用料を「管理費会計の収入」に入れています。)
つまり、「駐車場を使う人が払ったお金(収入)」の中から、「駐車場の電気代やメンテナンス費(支出)」を払っているというのが一般的な仕組みなんです。
お財布は同じ(管理費会計)ですが、実質的には利用者が負担している形になっているんですね。
なぜ「不公平」という誤解が生まれてしまうの?
仕組み上は利用者が負担しているはずなのに、なぜ「不公平だ」という不満が出てしまうのでしょうか。主な理由は2つあります。
- お財布の中身が見えにくいから
決算報告書で「電気代」という出費だけを見てしまい、「収入(駐車場使用料)」がその分をカバーしていることに気づきにくいケースです。 - 使用料が安すぎる(赤字の)場合
駐車場使用料を相場より極端に安く設定していると、収入だけでは「電気代+メンテナンス費」を賄いきれません。不足分を、車を持っていない人の管理費で穴埋めしている(実質的な赤字)状態なら、それは正当な不満と言えるでしょう。
管理組合でできる「電気代削減」のアイデア
「電気代が高いなぁ」と嘆くだけでなく、理事会で次のような対策を提案してみてはいかがでしょうか。
実際に多くの管理組合で取り入れられていて、コスト削減の効果も見えやすいので、みんなの賛成も得やすいです。
電子ブレーカーの導入(基本料金を下げる)
機械式駐車場は、契約している電力プランを見直すだけで、固定費を大幅に下げられる可能性があります。特に有効なのが「電子ブレーカー」の導入です。
機械式駐車場のモーターは、動き出す「一瞬」だけ大きな電気を使いますが、動いている時間は短いです。しかし、従来の契約(負荷設備契約)だと、すべてのモーターの最大出力の合計で基本料金が決まってしまうことが多く、割高になりがちです。
そこで、電気の流し方を制御できる「電子ブレーカー」を導入し、実際に使う電気量に合わせた契約(主開閉器契約)に変更します。これにより、契約容量(kW数)を小さくでき、基本料金を半額近くまで下げられるケースがあります。
【注意点】 この削減効果が見込めるのは、電力会社と「低圧電力(動力プラン)」で契約しているマンションです。大規模マンションなどで既に「高圧電力」の一括受電をしている場合は対象外となることが多いので、まずは電力会社の検針票(請求書)を確認してみましょう。
参考資料:【電子ブレーカー】 機械式駐車場 導入事例 – 株式会社コスモネクスト
電子ブレーカーを導入し、契約を見直すことで、年間約10万円もの基本料金削減に成功した事例などが紹介されています。
まとめ
機械式駐車場の電気代は管理費から支払われますが、その元手は通常、利用者が払う「駐車場使用料」です。
まずは管理組合の決算書で「駐車場収入」と「支出」を見比べて、本当に赤字なのかをチェックしてみましょう。「駐車場使用料」が「電気代+点検費」を上回っているなら、少なくとも「日々のランニングコスト」に関しては、車を持たない人が負担させられているわけではありません。「電気代を負担させられている!」という誤解に対しては、決算書の数字を見せることで納得してもらいやすくなるでしょう。













