
いつもお読みいただきありがとうございます。機械式駐車場の相談窓口です。
先日、機械式駐車場の入れ替え(リニューアル)を予定されている、あるマンションの修繕委員様からご相談をいただきました。 こちらのマンションでは、駐車場の空き区画はなく、利用状況は良好。そのため、撤去(平面化)ではなく「新しい機械への入れ替え」を前提に検討を進められていました。
しかし、メーカーから提示された「長期修繕計画」を見て、委員会の中で「ある大きな疑問」が持ち上がったそうです。
「数年後に『機械全体の入れ替え(リニューアル)』が予定されているのに、そのわずか1〜2年前に『多額の部品交換』が計画されているんです。これって、本当に必要なのでしょうか?」
メーカーの長期修繕計画は「マニュアル通り」の矛盾
拝見すると、確かにリニューアル工事の直前に、主要部品の交換費用として数百万円が計上されていました。
もしこの長期修繕計画通りに進めれば、「数百万円かけて新品にした部品を、わずか数年後のリニューアルですべて捨ててしまう」ことになります。 これでは、まさにお金をドブに捨てるようなものです。
しかし、私たちも安易に「その工事は不要です」とは言えません。 なぜなら、機械の状態によっては、「リニューアルまでの数年間を安全に持たせるために、どうしてもその部品交換が必要」というケースもゼロではないからです。
そこで、「書類上の数字」だけで判断せず、実際に現地へ伺い、設備の状態を確認させていただくことにしました。
そもそも「リニューアル直前」に高額な部品交換をすることの矛盾
現地調査を行う以前に、そもそもこの計画には大きな矛盾がありました。
それは、「あと数年で解体・撤去する機械に、今後10年以上使える新品の部品を組み込もうとしている」という点です。 通常、高額な部品交換は「その後も長く使い続けるため」に行う投資です。しかし、リニューアルが目前に迫っているなら、その投資対効果は極めて低く、経済的合理性がありません。
この計画は、メーカー側の「部品の推奨交換サイクル」と「本体の更新計画」が連携されておらず、ただ機械的にマニュアルを適用して作成されたものでした。
現地にて設備の状態も詳細に確認しましたが、やはり緊急性を要するような不具合は見当たりません。 つまり、機械の状態云々以前に、「リニューアル計画があるにも関わらず、直前の高額修繕がスケジュールから除外されていないこと」自体が、見直すべき異常な状態だったのです。
「長期修繕計画」を鵜呑みにしないでください
今回のケースのように、メーカーから提示される長期修繕計画は、あくまで「一般的な耐用年数」に基づいたテンプレートであることが多いです。 「あなたのマンションの機械の状態」を見て作られたものではない、という点に注意が必要です。
- 「リニューアルの直前に、高額な修繕が入っていないか?」
- 「故障していないのに、表に書いてあるからという理由だけで交換しようとしていないか?」
もし、お手元の長期修繕計画を見て「違和感」を感じたら、そのまま工事を発注する前に、ぜひ私たちにご相談ください。











